積極財政派の認知の歪み

積極財政派・反緊縮派は政府の赤字(資金不足)がなければ民間部門は成長できないと思い込んでいるようなので、資金過不足の対GDP比のグラフで検証する。なお、企業の黒字・赤字はキャッシュフローのことであり、利益と損失ではないことに注意。

画像4

家計、一般政府、企業(非金融法人企業+金融機関)の三部門から二部門を対比する。

高度成長期は基本的に政府部門は資金余剰(黒字)だった。その後はバブル期を除くと基本的に赤字になっている。

画像1

1990年代後半からの家計の黒字の縮小に対応するのは企業の赤字→黒字化であり、政府の赤字縮小ではない。

画像2

画像3

過去20年間不景気なのは一般労働者で、企業と株主にとっては高度成長期以来の好景気が続いている(世界大不況期を除く)。「パイ」が拡大する好景気ではなく、パイはほとんど拡大しないが取り分を増やした(労働者から取り上げた)ことによる好景気である。

画像7

画像6

これらのデータを見ても「政府の財政引き締め」が元凶と思うなら手の施しようがない。おそらく「民事不介入」「民間無罪」で思考停止しているのだろう。

ロジックに弱い人のために注記:拡張的財政政策は根治療法にはならないが、対症療法としての効果を否定するものではないので念のため。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?