国債1000兆円を一括償還すると

《有料設定はサポート機能の補完で全部読めます》


「国債発行は通貨発行に等しい→国債の償還は通貨の消却」という反緊縮派の素人論客に多い誤解。

2021年12月末の国債及び借入金現在高は1218兆円(うち内国債1088兆円、普通国債968兆円)なので、約1000兆円の国債を一括償還するためには所得税や消費税では足りず、財産税が主財源になる。償還によって1000兆円の通貨が納税者から国債保有者に移転する。

国債保有者が銀行:資産の国債と負債の通貨が両建てで消滅
国債保有者が非銀行:資産の国債が通貨に入れ替わる

マネーストックM3に対応している政府向け信用は約600兆円なので、国債を一括償還してもマネーストックは1000兆円も消滅しない。

画像2

画像2

マネタリーベースも国債に対応する分は消滅するが、社債やCPなど民間が発行元の資産に対応する分は残るので、すべては消滅しない。不足するなら民間資産を裏付けにして追加供給すればよいだけである。

この👇"Taxes Drive Money"もほとんど意味がないロジックである。

今日、1万円分の税金が払えたとしても、1年後に今日の1/10の財・サービスしか購入できなくなっていれば無価値も同然である(納税に必要なクーポンの枚数も増えている)。政府が自国通貨の使用を国民に強制しても、物価が暴騰する局面では外貨や実物への逃避が止められない。通貨の価値の根源は「納税に使える」ではなく安定した購買力であり、その実現が中央銀行の使命でもある。

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?