政府支出とGDPの相関関係の再検証[補足]

先日のこの記事に補足する。

反緊縮派は各国の政府支出とGDPの名目値の伸び率の相関係数が1に近いことを「政府支出の伸び率が名目GDP成長率を決定している」と解釈したいようだがそうではない。

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政府支出の対GDP比は景気変動によって上下するものの、政府はいわゆる「政府の大きさ」が過大にも過小にもならないように財政運営するので、長期的には水準は大きくは変化しない。このことは、GDPと政府支出の伸び率が長期ではほぼ等しくなることを意味する。

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この関係はほとんどの国に共通するので、各国の政府支出とGDPの伸び率を散布図にプロットすると、回帰直線の傾きと相関係数が1に近くなる。これは当たり前のことで「大発見」ではない。長期では税収の弾性値は1か1強なので、因果関係はGDP→政府収入→政府支出の方向性が強く、その逆ではない。

IMFのデータから先進35か国についてGDP、政府収入、政府支出の2018年と2001年の比を散布図にする。

GDPと政府収入

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政府収入と政府支出

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政府支出とGDP、これを年率にしたものが最初のグラフである。

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「政府支出を+a%すれば民間部門もa%成長する」のであれば、どこの国も苦労しない。

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