ファクトチェック:藤井聡の「消費税率引き上げで税収が減った」は大嘘

次から次へと口から出任せを言う藤井聡が先月のテレビ番組でもすぐにわかる嘘をついていた。

税率を上げることでよくよく考えると景気が悪くなって所得税、法人税、消費税全部減ってしまって、僕たちが貧乏になるだけじゃなくて日本の国家も貧乏になって社会保障もできなくなったんですよ。こんな悪税、世の中に存在しない。

消費税率は導入時(⇔物品税廃止)の1989年4月に3%、1997年4月に5%、2014年4月に8%と推移してきた。

消費税率引き上げの前年度を基準とした国税+地方税の増減額をグラフにする。所得税等には個人住民税、法人税等には地方法人二税、消費税等には地方消費税を含む。

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一目瞭然だが、藤井の「所得税、法人税、消費税全部減ってしまって」は事実に反する。1998年度以降に税収の合計が減少したのは消費税率引き上げが原因ではなく、1997年11月に発生した金融危機が「信用収縮→企業が負債と資産を圧縮するリストラクチャリングを本格化→バランスシート不況」を引き起こしたためである。この展開は2008年9月のリーマンショックが世界大不況を引き起こしたものと同じで、三洋証券のコール市場でのデフォルトが「日本大不況」の引き金だったのである。その後、ITバブルによる小回復はあったものの、バランスシート不況が終わって外需主導の景気拡大に移行するのは2002年になってからである。

藤井は「消費税率引き上げ→景気悪化→企業利益減少→法人税収減少」と言っているようだが、法人税収の減少には、法人税率の引き下げや不良債権処理の影響が大きい。

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以前の記事でも検証しているが、藤井の嘘は留まるところを知らない。

藤井が単に間違えているのであれば学者としての能力不足、確信的に嘘をついているのであれば学者としての資質(というよりも人間性)に問題があると言わざるを得ない。

京都大学は「自由な学風」が基本理念だそうだが、学者の権威を悪用して世の中に嘘八百をばら撒く自由は許されないはずである。

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