北欧の出生率低下の実相と真因
世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数ランキング2021のトップ3のアイスランド、フィンランド、ノルウェーでは近年出生率が急低下している。2020年の合計出生率(total fertility rate)はフィンランド1.37、ノルウェー1.48(非移民系は1.44)である。
Birth rates in Finland, Norway & Iceland are at record-low levels. Birth rates have fallen throughout the Nordics although the region is home to some of the world’s most supportive parental leave policies.
— Nordic Co-operation (@nordenen) February 4, 2020
Learn more in State of the #NordicRegion2020: https://t.co/aazUrVXXFX pic.twitter.com/67iPhXqqx4
ノルウェーの2009→2020年のTFRの低下0.5ポイントのうち30歳未満が0.4、30~34歳が0.1で、低下が30代前半にまで及んできたことが注目される。
各国政府もTFRの急低下には危機感を示しており、昨年にはノルウェー公衆保健研究所(FHI)が報告書を出しているが、問題は、若い世代の出生率の低下が出産時期の先延ばしによるtempo効果によるものなのか、それとも最終的に産む子の数(completed cohort fertility, cohort fertility rate)が減少するquantum効果なのかである。Tempo効果なら時間が経てば急落前の水準に戻るが、quantum効果なら戻りはCFRの水準までになる。
Norske kvinner får stadig færre barn. Men fruktbarheita er framleis forholdsvis høg. https://t.co/XpB8VtdLJs Seminar på Litteraturhuset i Oslo i dag om ståa https://t.co/a8m01udH5Q @ssbnytt @ISFnytt
— Folkehelseinstituttet (@Folkehelseinst) February 24, 2020
実のところ、ほぼ産み終わった世代では少子化は生じていない。1980年生まれのコーホートでは40歳時点で平均1.85人を産んでいるので、最終的にCFRは約1.9になると予想される。1950年代以降に生まれたコーホートのCFRは2.0~2.1だったので低下はしているが「少子化」というレベルではない。
問題はその後の世代である。
後のコーホートになるほど30歳までに産む数は減少しているが、30歳以降でのリカバーでCFRはほぼ一定を保っていた。つまり、TFRが2を下回っていたのはtempo効果のためでquantum効果ではなかった。しかし、1975~1980年生まれのコーホートを境にCFRが低下する兆候が見え始めている。
若い世代が産まなくなってきたことに関してFHIの報告書では様々な要因を検証しているが、注目されるのが価値観・社会規範の変化である。下は報告書掲載のグラフだが、婚姻制度は時代遅れと思う/信心深くない進歩的価値観の女は逆の保守的・伝統的価値観の女に比べて子の数が少ない。
社会全体では「神を信じない」人の割合が着実に増えて「信じる」と逆転している。このような進歩的観念の強まりが出生率低下と関係している可能性が濃厚である。
数値化が難しいこともあってこれまでの少子化分析では軽視されてきたが、宗教心と出生率が関係することはイスラエルの例からも明らかである。宗教心とまではいかなくても、価値観・社会規範の変化は無視できない。
フィンランドについては上の記事👆でも取り上げているが、個人主義を教え込まれた若い世代にchildless, childfreeな生き方を肯定する価値観が広まっていることが北欧の出生率低下に寄与している可能性がある。
子どもをもたない生き方 ──「チャイルド・フリー」も幸せ
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) August 14, 2020
結婚が家系を受け継ぐための制度だった時代が過去の物になりつつある今、子どもをもたないという選択も認知され始めた──https://t.co/iswx00co0q #家族 #子供 #女性問題 #選択子なし #子なし夫婦 #ライフスタイル
Study: Many childless Finns see parenthood as an exhausting chore #Finland #birthrate #families #childless #population https://t.co/6yJBxoVKyX
— Yle News (@ylenews) December 12, 2017
But now, according to the study, women said that they're not having children because they don't want to lose their freedom. Some of those women said that if they gave birth to a child they'd have to give up travelling, enjoying hobbies and spending time with friends.
Babies wanted: Nordic countries crying out for kids https://t.co/DER4TH062D pic.twitter.com/lgj9EAJF0s
— The Local Norway (@TheLocalNorway) January 17, 2019
“The number of childless individuals is growing rapidly, and the number of women having three or more children is going down. This kind of fall is unheard of in modern times in Finland,” said Anna Rotkirch, a family sociologist at the umbrella organisation Finnish Family Federation.
この記事👆の専門家は、フィンランドのTFRの低下は出産の先延ばしによるものだけではなく、CFRの低下も寄与していると見ている。
here. but of course cohort fertility rates tell the final truth, not TFR.
— Anna Rotkirch (@AnnaRotkirch) January 30, 2019
1970s TFR dip largely due to postponement - this time that is not the case.
Cohort fertility has been around 1.9 for women born 1940-75 now likely to fall to...? 1.5-1.6 say scenarios but nobody knows. pic.twitter.com/vXRH9v9Bjz
All-time low period fertility in Finland: drivers, tempo effects, and cohort implications
All of our forecasting methods suggest that cohort fertility is likely to decline from the 1.85-1.95 level that was reached by the 1940-1970 cohorts, to a level of 1.75 or below among women born in the mid-1980s.
Birth cohort changes in fertility ideals: evidence from repeated cross-sectional surveys in Finland
Our findings indicate that the ideal number of children was lower among more recent compared to earlier birth cohorts. This difference in fertility ideals was driven by larger proportions of those preferring to remain childless among the recent birth cohorts. This suggests that attitudes of Finns towards childbearing have changed and may contribute to recent fertility decline.
FHIの報告書でも言及されているが、このような価値観を持った人々には育児支援策を拡充しても出生率向上には効果が無い。
"We have to help young people, those who want a family life and are dreaming about children" - Russian President Vladimir Putin https://t.co/cVy1UwsTlD
— BBC News (World) (@BBCWorld) January 15, 2020
But Prof Gauthier does note that even Scandinavia has begun to see a fall in its fertility rates, showing that the real key to higher birth rates remains unclear.
"With Scandinavia we thought they had got it right... until about last year when their fertility rate started to decline," she said.
フェミニズムの毒が回ってきたことが北欧諸国の出生率低下の主因ではないかと疑われる。
フェミニズムは死の文化です。フェミニズムのせいで女性は子どもをつくらなくなったわけですから。
子どもが生まれなければ、行き着くところは死しかありません。フェミニズムとは何か。女が男と同じように行動したがることです。ラディカルなフェミニズムが定着したあらゆる国で、女性たちが子どもを作らなくなったのは偶然ではありません。シモーヌ・ド・ボーヴォワールがまさしくそうです。
子どもから解放されないと女性は解放されない
個人的な面では、一番大事なことは働くことです。そしてできれば結婚を拒否すること。
最近になって、子どもを産むことは女性にとって厄介な罠だと思うようになりました。だから母親になるな、と女性に忠告したいのです。
人工妊娠中絶の合法化は女が子供から解放されるため。
付録
この👇ような俗説を信じないように。リベラルには正しい行動(政策)は望ましい結果をもたらすという根拠のない信念があるが、それが根本的な誤りである。
女性の高学歴化は少子化の原因ではありません。女性の高学歴化が日本よりも早くから、著しく起こっている先進国(米国、仏国、英国、北欧)の出生率が、日本のそれを大きく上回っています。経済格差は少子化の原因の一つであり、結果でもあります。少子化のメカニズムは冨を分散させず、偏在させます。 https://t.co/jpBDamWmcL
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) April 2, 2021
いいえ、そうではありません。先進諸国の間では、男女平等の進んでいる国ほど、一時期沈んだ出生率を回復しています。ヨーロッパでも、女性が職業労働で自活することへの賛同が強いフランスやイギリスは出生率アップに成功したが、それが仏英ほどには強くないドイツの出生率は低迷しています。
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) April 3, 2021
ん?物言いをつけたいのなら、フランス、イギリス、米国、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー等の合計特殊出生率をしっかり見てからにせよ。加えて、基本的な事象すら理解していないデタラメnote(←特にトッドの引用の仕方は笑止)に依拠するのはやめた方が宜しい。https://t.co/tTPJDspZLL
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) April 4, 2021
見当外れの物言いをつけるのも、せめて、フランス、イギリス、米国、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー等の合計特殊出生率を確認してからにされよ。加えて、基本的な事象すら理解していないデタラメnote(←特にトッドの引用の仕方は笑止)に依拠するのはやめた方がよい。https://t.co/tTPJDspZLL https://t.co/4Qo7NjD5eL
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) April 4, 2021
これは余りにも無知な言説ですね。この種の時代錯誤が「本気の有効な少子化対策」への現代人の浅はかな拒否反応を誘発するのです。
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) May 7, 2021
先進世界(今やイラン等も含む)では、女性の進学率が高く、職業労働も当たり前になっている国々こそが少子化克服に成功し、合計特殊出生率を比較的高く保っています。 https://t.co/8dOARmoxrM
良し悪しは別にして、無知はいけない。この種の時代錯誤が「本気の有効な少子化対策」への現代人の浅はかな拒否反応を誘発するのです。
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) May 7, 2021
先進世界(今やイラン等も含む)では、女性の進学率が高く、職業労働も当然視されている国々こそが少子化克服に成功し、合計特殊出生率を比較的高く保っています。
世界的に見ても貧弱な少子化対策 日本は子育て支援増額を 東大・山口慎太郎教授インタビュー
— 東京新聞編集局 (@tokyonewsroom) November 29, 2020
「出産費用支援は次世代への投資。日本は子育て支援の支出を増額する必要がある」
東京新聞 TOKYO Web https://t.co/tinNU23sFK
経済学者の結論「少子化を止めるには児童手当より保育所整備を優先せよ」 現金給付より5倍も効果が高い https://t.co/HqVZTNQbVd
— PRESIDENT Online / プレジデントオンライン (@Pre_Online) January 18, 2021
「男性を家庭に返す」これが日本の少子化対策の第一歩 昭和を引きずる社会保障 崩壊防ぐ復活の処方箋 : https://t.co/ZgHJIZCowc #WEDGE
— ウェッジ編集部 (@WEDGE_Infinity) May 6, 2021
おっさん向けメディアが極めてリベラルな主張をするようになったことには要注意。世界経済フォーラムの"Great Reset"と関係する。
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