麻生大臣「給付金の分だけ預貯金が増えた」

麻生財務大臣の発言に難癖をつけている人がいるようだが、

給付金の効果について「当然、貯金が減るのかと思ったらとんでもない。その分だけ貯金が増えました」と主張した。さらに「カネに困っている方の数は少ない。ゼロじゃありませんよ。困っておられる方もいらっしゃいますから。しかし、預金・貯金は増えた」と重ねて強調した。
作家の乙武洋匡氏は「本当に『給付金により貯蓄が増えた』というデータがあるなら公表したほうが発言に説得力が生まれるだろうし、たんなる憶測で話しているなら財務大臣としては迂闊に過ぎると思う」とツイート。

10月9日に総務省統計局が公表した「家計調査」を確認すればよい。特別収入増加の大部分を占める定額給付金がそっくりそのまま預貯金純増になっている。

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消費支出を支出弾力性が1未満の基礎的支出と1以上の選択的支出に分けて、二人以上の世帯の2019年と2020年の1~8月計を比較すると、

基礎的支出:130.7万円→130.8万円(+0%)
選択的支出:103.3万円→88.0万円(-15%)

となる。経常収入はそれほど減少していないが先行き不透明感は強いので、外出が減る→選択的支出が減る→給付金が予備的貯蓄に、となるのは自然である。

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日本銀行のマネーストック統計からも、給付金の多くが預金口座に滞留していることが見て取れる。

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麻生大臣が「消費支出するとマネーストックが減る」と思い込んでいると曲解して揶揄する反緊縮派もいるようだが、そのような話ではない。

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