日韓の平均賃金

OECDの統計から日韓のaverage annual wagesを比較する。

まずは自国通貨建ての名目値と実質値の推移。

画像1

画像2

2019年価格の実質賃金を2019年の購買力平価1ドル≒114円と1ドル≒990ウォン(1円≒8.7ウォン)で換算したものが上のランキングである(一の位の0が抜けている)。2015年から韓国が日本を上回っている。

画像3

一方、実勢為替レートの1ドル≒109円と1ドル≒1165ウォン(1円≒10.7ウォン)で換算すると、依然として日本が韓国を上回っている。

画像4

購買力平価換算では韓国が日本比で+9%だが、実勢為替レート換算では-11%である。

画像5

2019年の為替レートは歴史的なウォン高・円安水準にあるが、購買力平価はそれよりもウォン高だからである。「韓国の平均賃金4万2300ドル」が過大評価になっている感は否めない。

画像7

購買力平価は厳密な比較には使えないので、このデータから「日本の平均賃金が韓国に追い越された」とまでは言えないが、自国通貨建ての増加率では韓国に後れを取っている。2000年→2019年の19年間で実質年間平均賃金が僅か1.5%しか増えていないことには危機感を持った方が良い。日本はPIGSと同レベルである。

画像6

日本では1990年代末から永続的な改革運動が続いているが、(他者の)賃下げも国民が支持する改革の一つなので、改革を止めない限り、賃金が上昇軌道に乗る可能性は低い。

実質賃金の停滞が改革の「成果」であることを認識しなければ、賃金を上昇させる方策も見つけられない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?