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"Irreversible Damage"の内容が概ね正しい根拠

トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』という書名で翻訳出版された"Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing Our Daughters"は、出版に反対する活動家から「根拠のないヘイト本」などと批判されていたが、そのような批判は全く当たらない。英語圏の状況証拠は同書の内容が概ね正しいことを示している。

このような本が出版された背景には、英語圏の若者の性自認(gender identification)が普通の日本人の想像を超える異常事態になっていることがある。

👇は先日発表されたGallupの調査だが、若い世代(の女)の性自認があり得ないレベルで狂っている、まさにcrazeが広がっていることが明らかである。

Gallupより作成
Gallupより作成

現在、イギリスでは子供・若者の性同一性障害について専門家による独立調査が進められているが、中間報告では近年の急増については👇のような記述がある。

Changing epidemiology

3.10. In the last few years, there has been a significant change in the numbers and case-mix of children and young people being referred to GIDS. From a baseline of approximately 50 referrals per annum in 2009, there was a steep increase from 2014-15, and at the time of the CQC inspection of the Tavistock and Portman NHS Foundation Trust in October 2020 there were 2,500 children and young people being referred per annum, 4,600 children and young people on the waiting list, and a waiting time of over two years to first appointment. This has severely impacted on the capacity of the existing service to manage referrals in the safe and responsive way that they aspire to and has led to considerable distress for those on the waiting list.

3.11. This increase in referrals has been accompanied by a change in the case-mix from predominantly birth-registered males presenting with gender incongruence from an early age, to predominantly birth-registered females presenting with later onset of reported gender incongruence in early teen years. In addition, approximately one third of children and young people referred to GIDS have autism or other types of neurodiversity. There is also an over-representation percentage wise (compared to the national percentage) of looked after children.

性同一性障害については過去100年以上の研究から、

  • 男が女よりも多い

  • 幼少期からその傾向が見られる

ことが判明していたが、近年の激増は

  • 女が男よりも多い

  • 思春期に突然言い始める

と、思春期の少女に多い「心の揺れ・迷い」であることを強く示唆している(同書を否定するのであれば、近年の激増についてこれよりも説明力がある合理的説明を示す必要がある)。その他の研究から、少女は少年に比べてSNS情報に影響されやすいことが知られており、「自分はトランスジェンダー」だと自認する少女の大半はトランス活動家が仕掛けたブームに乗せられた可能性大と判断できる。Cass Reviewでは自閉症スペクトラムが多いことにも言及されているが、自閉症スペクトラムの人は「自分は他の人たちと何か違う」と感じたり、思い込みが強い傾向があるので、「あなたの違和感はトランスジェンダーだから」という誘導に引っ掛かりやすい。

The Cass Review: Interim report
The Cass Review: Interim report
https://www.england.nhs.uk/wp-content/uploads/2023/06/Equality-and-health-inequalities-impact-assessment-on-interim-service-specification-for-Specialist-Gender-Inco.pdf

カルトにハマったような異常な心理状態になっている少女に第二次性徴の阻害や乳房切除といった"irreversible damage"を与えることに異議を唱えているのがこの本の内容である。

なお、推進派が元に戻せない人為的身体変化を急ぐ主な理由の一つは、後戻り(≒カルトから脱会)できなくするため。

付録①

アカデミアに巣くう活動家のポジショントーク(この人物の顔を見れば納得するはず)。

「トランスジェンダー入門」の共著がある高井ゆと里・群馬大准教授は、昨年12月から医療社会学やトランスジェンダー・スタディーズの研究者ら数人で原著の内容を検証中だ。

👇は正しい。

検証チームのまとめでは、同書は「思春期の少女たちが、SNSでトランスイデオロギーに触れて自らをトランスジェンダーだと誤認し、不可逆的な医療を受けている」などと訴える内容。

👇は同書への反論になっていない。性同一性障害は政治的な思想や流行ではないが、政治的な思想や流行から「自分はトランスジェンダー」と誤って思い込む若者が増えていることは状況証拠から明らかである。「子どもへの医療は慎重に行われており」が事実ではないこともCass Reviewで指摘されている。「必要な医療資源の不足」は、本来は医療の対象ではない若者たちが押し掛けているからである。

検証の中核を担う研究者は「そもそもトランスジェンダーは政治的な思想や流行ではない。子どもへの医療は慎重に行われており、必要な医療資源の不足の方が問題になっている。実態を踏まえない主張で、具体的な問題も多い」と話す。

「実態を踏まえない主張」をしているのはこの研究者や活動家たちである。

付録②

「抑制が利かない興奮状態」はエリート集団だけではなく、Z世代の若者にも広がっている。要するに、社会全体がおかしくなっているということである。

私は来年1月にフランスで新著を刊行する予定で、そのために、米国の地政学者や安全保障の専門家の本を数多く読みました。米国のエスタブリッシュメントの現実認識や世界戦略を理解しようとしたのです。
そこから見えてきたのは、世界一の大国を率いているはずの米国のエリート集団が、実は真面目でも有能でもない、ということです。彼らの言動は、合理的な戦略に基づいているわけではなく、抑制が利かない一種の興奮状態にあります。とりわけ“大人”であることが要求される安全保障問題で“子供”のように振舞っている。「バイデンという老いぼれに率いられた子供っぽい集団」というのが、「世界一の大国」であるはずの、この国の指導層の実態なのです。“現実”を直視できない彼らは、何をしでかすか分かりません。彼らの攻撃性こそ、世界にとって一番の不安定要因となっています。

エマニュエル・トッド「米国はすでに敗北している」
『文藝春秋』2023年12月号
強調は引用者

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