2020年度予算は「野放図なばらまき」か

国の2020年度当初予算の一般会計歳出が過去最大となったことを、立憲民主党が「野放図に予算をばらまくことは許されない」などと批判している。

政務調査会長談話から主なポイントを抜き出す。

一般会計総額は、2年連続で100兆円の大台を超え、当初予算としては過去最大の102兆6580億円となった。安倍政権による歳出拡大路線には全く歯止めがかかっていない。先の消費税増税で国民に痛みを求めた一方、予算の大盤振る舞いであり、憂慮すべき事態である。
借金頼みの体質がますます悪化していることは明白である。
消費税税増税による税収増をあてにして、野放図に予算をばらまくことは許されない。立憲民主党は、膨張しつづける予算案について、個々の歳出に無駄がないか、人口減少対策、災害対策、国民生活を豊かにする経済対策、温暖化防止をはじめとする環境対策、安心の社会保障の構築など現下の課題に十分対応しているか、厳しい視点で精査を行っていく。

この批判が事実に基づいているか検証する。

一般会計歳出の拡大路線が続いていることは事実である。

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国債費は日本銀行による金利抑圧もあって増加が止まっている。

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一方、社会保障関係費は増加しているが、主に高齢化による自然増なので、野放図なばらまきとは言えない。「安心の社会保障の構築」のためには社会保障費の増額が不可欠である。

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国債費と社会保障関係費、恩給関係費を除くと歳出拡大路線ではなく、橋本龍太郎以来の縮減路線が継続している。

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立憲民主党にはこれ(⇧)が「予算の大盤振る舞い」や「野放図なばらまき」に見えるらしい。

このような倹約志向の根本的誤りは、民間の「量入制出」の原則を政府にも適用していることにある。

政府は民間と違って市場競争に直接左右されない収入源(←徴税権)と信用リスクゼロでの資金調達力があるので、税収に合わせて支出を決める「量入制出」ではなく、必要な支出をまず民主的に決めて、それに必要な財源を税と国債で調達する「量出制入」を原則にするべきなのである。

民間は外部環境に左右される受け身の立場だが、政府には外部環境を変える力があることも決定的な違いである。経済全体が需要不足であるなら、自ら需要を作り出して税収増につなげればよい。

「借金頼みの体質」と国債発行に否定的だが、国債の増発余地が大きいことは、インフレ率、国債金利、利払費が示している。財政の不健全性を示すのは国債残高(ストック)ではなく利払費(フロー)である。

このような政党が政権を取れば、財政構造改革と金融システム改革(金融ビッグバン)で日本の経済社会を不可逆的に破壊した国賊・橋本龍太郎の二の舞になる可能性が高い。

過去20数年間の「改革」の根底には「日本は人口減少していくので、経済も身の丈に合わせて縮まなければならない→貧しくなければならない」という敗北主義的な考え方がある。この考え方に基いて財政運営すると予言の自己実現的に貧しくなるので、政治家はますます自分の考え方の正しさを確信して聞く耳を持たなくなるのである。

この世代の人々の思考は、前述した偽りの金銭収支計算によって依然として曇らされているので、その運用が「ペイ」するのかどうか、という金銭勘定と違った結論を信用できないのである。われわれは貧しくなければならない。なぜならば豊かになることは「ペイ」しないからである。われわれは粗末な家に住まなければならない。それは立派な家を建てられないからではなく、その余裕がないからである。
このような自滅的な金銭収支計算と同じ考え方は生活のあらゆる分野に及んでいる。

「改革派」の心理

さあ改革するぞ改革するぞ改革するぞ。徹底的に改革するぞ改革するぞ改革するぞ。

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