MMTは軍票理論

11月13日の日本経済新聞のコラム「大機小機」に、財政学者らしき人物(唯識)による「コロナ対策とMMT理論」が掲載されていた。タイトルや一部に?な点はあるものの、概ね同意できる内容である。

当noteではMMTが記述する財政・通貨制度システムにおける貨幣が軍票のようなものと論じてきたが、唯識も同じ認識である。

なんともわかりにくい答えだが、要は中央銀行が関与しない通貨発行という意味で、戦争中の軍票と同じと考えれば分かりやすい。

MMTの信者は同意しないかもしれないが、教祖が言っていることは軍票説の正しさを裏付けている。

貴金属の裏づけがなく、固有の価値をもたない「法定不換通貨」を、なぜ誰もが受け取るのだろうか?
我々は、「租税が貨幣を動かす」と結論づけた。国家が租税債務を課し、強制する権限を有していれば、その通貨に対する需要を確保できる。
通貨を動かすのに最も有効な支払いは、義務的な支払い――投獄を免れ、喉の渇きによる死を避けるために、せざるを得ない支払い――である。
政府が小切手を切ったら、連邦準備銀行は取引相手の口座に必要なだけ準備預金呼ばれるデジタルドルを追加し、決済する。
実際のところ、政府はすでにすべての支払いをニューヨーク連銀のキーボード操作だけで済ませている。

現行制度では「中央銀行がその受け入れる金融資産見合いで通貨を発行」することで、交換価値があることを保証している。藤巻の財政破綻論には同意できないが、これ(⇩)に関しては正しい説明である。

現行制度がこのような仕組みなのは、政府が自由に通貨発行できる、あるいは中央銀行に発行させることができると、ほぼ確実に過剰発行→悪性インフレを招くことが歴史の教訓として得られているからである。そのため、資金調達にはインフレ分のコストを支払うようにすることで、過大な財政支出による悪性インフレを防止する仕組みが世界標準になっている。

「賢明な政府」を前提としている時点で、MMTは社会主義と同じ非現実的な理論と言わざるを得ない。

補足

ケルトンが第二次世界大戦時のような国家による経済統制を志向していることは著書や様々な発言から読み取れる。これがMMTerの多数意見であることは、下の記事などからも確認できる。


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