ドイツのWOKEと1968年世代

ドイツ政治のwokeismへの傾斜が鮮明になっている。

その遠因は「1968年」にあるという見方は恐らく正しい。

毛沢東はパリ・コミューンを1つの理想とし文化大革命を発動した。5月革命の闘士たちは文革に現状打破の理念を重ね合わせた。フェミニズム、エコロジー、第三世界革命主義、マイノリティ集団の権利、ポスト構造主義…。フランス現代思想の源流にあったマオイズムと文革の衝撃。

Their thinking took hold in Western universities in the '60s and '70s, when the true believers of the radical left became the professors of today.

(反戦デモが続いた)大学キャンパスの若者を思い出してください。当時の民主党は彼らを見て、「彼らの側につく政党であるべきだ」と悟った。当時、多くの労働組合がベトナム戦争を支持しました。労組メンバーには、キング牧師の公民権運動を支持する人々も大勢いましたが、人種差別主義者の白人も含まれていた。これを見て、民主党は「彼らとの関係はオシマイだ」と判断したのです。

70年代から90年代の民主党を眺めると、彼らは自己変革を繰り返していた。かなり詳しく調べました。この時代の各派が一致していたことは、「民主党はもはや労働者の政党ではない」であり、繰り返しになりますが「見識があり、高等教育を受け、裕福な人々の政党」をめざした。

西側諸国の急激なリベラル全体主義化は、1968年世代が毛沢東、若者たちが紅衛兵になったことによる。キリスト教的倫理観の有無が日独の若者の違いにつながっている。

なぜ多くのドイツの若者は革新系の緑の党を選び、日本の若者は現状維持を選択したのか。

私は、ベトナム戦争時に学生時代を送った「1968年世代」が、その後の世代の生き方に決定的な役割を果たしたと思っている。

1968年~反乱のグローバリズム』の著者ノルベルト・フライ(イエナ大学教授)の分析👇。

ドイツの若者は研究者や教員、市民活動家となり、70代、80代になった今も政治的であることをやめていない。政治的であることは、もはや信念であり、かれらのライフスタイルになっている。企業のCEOになっても、それは同じ。

――なぜ、そうした感情を持ち続けることができたのでしょうか。

宗教的な倫理観に裏付けられているからだと思う。ドゥチュケはキリスト教のバックグラウンドを持っていて、「宗教的な社会主義」の信奉者だった。キリスト教徒でありながら、よりよき社会のためなら武器をとることも辞さない。特に第三世界ではそれが必要であると考えていた。
原始的な共産主義とキリスト教の教えには、つねに共通したものがある。それは、権威主義の克服であり、人間の解放だ。マルクス主義者でも、その倫理観は宗教的なものに基づいていた。1960年代の運動は、それぞれにとって生き方、信仰の問題でもあったのだ。

現代リベラリズムも「人間の解放」を目指すものだが、フライ教授の分析は、リベラリズムも共産主義やファシズム/ナチズムと同類の、キリスト教の「代用宗教とも言うべき全体主義的イデオロギー」であることを示唆している。

20世紀にキリスト教の力が弱まると、ヨーロッパにはその代用宗教とも言うべき全体主義的イデオロギーが広まった。ファシズムとコミュニズムである。両者がそれぞれユダヤ人とブルジョワジーを悪魔のように敵視していたことに思いを馳せると、第2章で詳述するように、両者はじつはヨーロッパに固有のデモノロジーの新種であったと考えざるをえない。

西側で共産主義に影響された若者が暴れた1968年には、東側では「プラハの春」が起こった。現在、ハンガリーを筆頭とする東欧諸国が西側が押し付けるリベラリズムに激しく反発しているのは、その本質が共産主義と同じ全体主義的イデオロギーであることを肌で感じられるからである。

… “after Nazis and Communists, a new totalitarian ambition is about to destroy Europe, sometimes called Liberalism, post-Humanism or whatever… green folly.”

「キリスト教を世界に広める」や「共産主義を世界に広める」と同種の情熱と使命感👇。

日本の1968年世代とその後継者たちは、主に英語圏からリベラリズムを輸入して広めようとしているが、日本人はその本質が「性は自由に変更できる」というような狂信的イデオロギーであることをよく認識した上で断固拒否するべきだろう。リベラリズムは進んでいるのではなく狂っているのである。

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