国際収支が示す日本経済の「張子の虎」化

国際収支(~1995年は5版基準、1996年~は6版基準)の変化をグラフで確認する。

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2019年の貿易収支の黒字は対GDP比0.1%に縮小したが、

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サービス収支は赤字から黒字に転換した。

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経常収支の黒字は主に第一次所得収支の黒字によるものである。

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経常収支の内訳は大きく変化している。傾向としては貿易収支⇩、サービス収支⇧、第一次所得収支⇧となっている。

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サービス収支の黒字転換には、旅行収支の寄与が大きい。

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第一次所得収支の黒字増加は、対外投資の増加を反映している。

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対外直接投資は民間企業設備投資の2~3割の規模に拡大している。

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旅行収支に着目すると、

企業の人件費抑制と投資の海外流出→日本の所得水準の相対的低下→「安い国」の日本に外国人が押し寄せる→旅行収支の黒字転換

となる。

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(東南ア6か国:タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ベトナム、インドネシア)

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安倍政権が推進する「観光立国」とはこの構図をさらに強化して、日本をハイテク工業国から「一家総出で低賃金労働」の後進国へと退行させるものである。アベノミクスのゴールが日本の空洞化・貧国化であることに気付かなければならない。

安倍政権を投資ファンドに例えるなら、事業再生ファンドではなく解体・売却するハゲタカファンドになる。安倍首相はハゲタカファンドから送り込まれた解体屋である。

安倍語録

ウォール街の投資家が儲かる国に日本を改造することが安倍首相の使命のようである。

世界経済を動かす「ウォール街」。この名前を聞くと、マイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーを思い出します。
今日は、皆さんに、「日本がもう一度儲かる国になる」、23年の時を経てゴードンが金融界にカムバックしたように、「Japan is back」だということをお話しするためにやってきました。
世界標準に則って、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍の穂先となりこじあけてきました。
まず、日本企業の体質を変えなければならない。コーポレート・ガバナンス改革を、私は、最も重視しています。
機関投資家によるガバナンスを強化するため、スチュワードシップ・コードも策定しました。
企業が、資本コストを意識して果断に経営判断を行うよう、コーポレート・ガバナンス改革を更に前に進めていきます。
そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう。
私の改革に終わりはありません。そして、いかなる障害も、私の改革への意志を阻むことはできません。皆さん大いに期待をしていただきたいと思います。

グローバル投資家が要求する資本コストは7%超なので、企業はコスト削減を強化(→賃下げ・デフレ圧力)すると共に、投資を成長率の高い外国に流出させる。

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