反緊縮派の「そう見えるでしょう経済学」

当noteでも度々取り上げてきた反緊縮派のアホグラフが東洋経済オンラインにも登場した。

政府支出の増加が名目GDPの増加につながるのは当然だが、それは中長期的に政府支出の伸び率が名目GDPの伸び率を決めていることを意味しない。

物価や賃金が上がれば公共サービスに必要な金額も増える。また、経済成長すれば、社会保障の拡充やインフラストラクチャー整備等々、国民の公共サービスへの要求水準も高くなる。一方で、国民は増税には抵抗するので、政府はそのバランスを取って、政府支出の対GDP比がほぼ一定になるように財政運営する。その結果、中長期では"政府支出の伸び率≒名目GDPの伸び率"となる。

名目GDPの伸び率と財政支出の伸び率は密接な関係があるが、これは財政支出が名目GDPの結果となるという因果関係を必ずしも意味しない。
財政支出の経済分析をすると、予算制度的に前年度の経済変数に依存するものが多いことが明らかになっている。むしろ名目GDPが財政支出の結果をもたらすという因果関係のほうが実務的にはしっくりする。

日本では経済が急減速した時期に政府支出と名目GDPの乖離が拡大したが、それ以外の時期では比は安定的に推移している。

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👇昭和56年の経済企画庁『年次経済報告』

わが国が「小さな政府」を維持することができたのは、高度成長という歴史的局面による面が大きかった。公共部門の絶対規模の拡大テンポはわが国が最も高かったが、高度成長の中でそれが目立たなかったのである。だから70年代に入って経済成長率が低まると、わが国の公共部門の割合は急上昇を示すようになった。一般政府支出の国民総生産に占める割合は、60年代を通じて18%前後の低い水準で安定していたが、70年代前半にはこれが22.7%、79年では31.7%にまで上昇した。

以下、過去記事から再掲。

以下を主張している人物は悪質な煽動者か経済分析の能力を欠く素人なので信用してはならない。

①日本のデフレ(や不況)は20年以上続いている
②日本の経済成長率は世界最低(名目GDPやドル換算GDPでは)
③財政支出をk%増やせば名目GDPをk%増やせる

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