株高が明るさにつながらない日本
株価のバブル期超えについては既に幾つか書いているが、ポイントを二つ挙げると、①株価のバリュエーションが全く違う、②株価形成の最大のファンダメンタルズである利益についての経営者の認識が大きく変化した、ことである。
英紙が「バブル」と「令和」を徹底比較 株価最高値を更新しても日本は「豊かさ」を取り戻せない… https://t.co/pzORESh9aB #クーリエ
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) March 17, 2024
バブルとは資産価格がファンダメンタルズ(株価の場合は、企業利益のストリームの現在価値合計)から乖離した水準に上昇することだが、日本のバブル期には、予想成長率が潜在成長率からかけ離れた水準に高まった(火が付いた)ところに低金利政策もあって益利回りが急低下した(油が注がれた)ことで、株価が暴騰した。
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PER(の逆数が益利回り)は単体・単純平均
金融ビッグバンを経て株価形成がグローバル基準に従うようになった2000年代後半になると、益利回りが日本経済や企業収益の成長率から乖離した水準に高止まりするようになった。現在の株価はバブル期の数倍の利益に基づいたものなので、バブルではない。
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経済規模や賃金水準に比べて企業利益が著しく増えているのは、👇の冒頭で指摘されているように、企業が賃金抑制と「海外で稼ぐ」経営に転換したことが主因であり、
📽️ 賃金が上がらないのは「上げない政策」のせい
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) March 15, 2024
🧐 元内閣審議官・経産官僚で政治経済評論家の #古賀茂明 氏がスプートニクの取材に応じ、日本の税金事情について語ったなかで、現在の経済政策で賃金が上がらない理由を説明した。
👇 詳細は #スプートニクのビデオ でご覧ください! https://t.co/LkmLjrHJZu pic.twitter.com/9Gkunr1Twm
そのベースには、1994年2月の経済同友会「舞浜会議」で宮内オリックス社長が述べたとされるこの👇ような考え方(株主至上主義、金融資本主義、新自由主義)がある。
「企業は、株主にどれだけ報いるかだ。雇用や国のあり方まで経営者が考える必要はない」
この社会規範の変化には、企業トップの給与に特有のいくつかのメカニズムが関与しています。第一は、株主運動や株主価値論の普及、すなわち経営者の使命は株主の利益に使えることであって、従業員を富ませたり、(ガルブレイスが描いた近代企業のように)官庁と協力して効率的な国家目標の達成計画に気をとられたりすることではないという思想の普及です。
企業が儲かって株価が上昇したとしても、リゲインのテーマのように「年収アップに希望を」持てなくなったのだから、人々の気分が暗いのは不思議ではない。
株価は最高値更新なのに、日本人の気分は暗すぎる...このギャップをどう考える?
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) March 17, 2024
<日経平均が上昇基調で日本が長い低迷期を抜ける兆しがあるのに、相変わらず人々の気分は暗い。だが日本社会の古い体質が変わりつつあるのは確か。こんなときに必要な最後のピースとは?>https://t.co/f4NnBKxV9g
企業がこのような変われば、労働者から「熱さ」が失われるのは必然だが、それに加えて人口の高齢化も血気・活気・活力の低下の原因になっている。
世界で爆買い、長者番付は常連…バブルにあって令和にない「野心と高揚感」を英紙が紐解く https://t.co/5jVRY952rC #クーリエ
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) March 17, 2024
今年には人口の過半数が50歳以上になる見込みだが、そのような社会から「野心と高揚感」が失われるのもまた必然である。
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ということで、少子高齢化と金融ビッグバンによって日本経済が不可逆的構造変化を遂げたことが、株高でも豊かさを取り戻せない根本原因というわけである。
付録
日本とは逆方向に企業部門を改革したのがロシアのプーチン大統領で、オリガルヒ(当初の7人中6人がユダヤ人)のやりたい放題を止めさせ、主要産業は国家目標の達成に協力するようにしたことが、西側の専門家の推定を大きく上回る継戦能力を可能にしている。
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