国会議員と金

このようなミスリードを狙ったマスメディアと、その思惑通りに踊らされる大衆を見ると、日本は詰んだと思わざるを得ない。

4000万円はまるまる議員個人の収入になるのではなく、経費込みである。議員は公費で秘書を3人(政策、第一、第二)まで雇えるが、それだけでは東京の議員会館の事務所と地元の事務所を回すことは不可能なので、別にスタッフを数人は雇う必要がある。その他諸々の経費も含めれば、4000万円ではとても足りないというのが現実である。

議員個人への報酬と経費を完全に分けて、領収書の提出と引き換えに実費を支払えばよいという意見もあるが、それなら会計担当者を公費で雇えるようにしなければ事務所がパンクしてしまう。

議員数を減らせという意見もあるが、それでは行政府をチェックする能力が確実に減るので、官邸のやりたい放題を促進することになりかねない。

大衆が安易な議員叩きに賛同するのは、議員の仕事がどれだけ大変かを全く理解していないからだと思われる。国会の会期中は本会議と委員会の出席、質問の作成、党内の会合(自民党では部会や委員会など)への出席、官僚のレク、各種業界や地元関係者などの陳情対応、同イベントへの出席、こまめに地元に戻っては関係者・支援者回りや朝立ち等々、その仕事の範囲と量に比べれば議員報酬は決して多いとは言えない。見方を変えればやりがい搾取をされていると言っても言い過ぎではない。

多少の遊びも許さず、改革と称して人件費削減と人員削減ばかりを進めてきた結果、活力低下が著しいのが経済分野だが、その反省もなく、国会議員にも同じ「改革」を望むようでは、日本の前途は真っ暗と言わざるを得ない。

参考

5年前の記事だが、韓国では現在でもスタッフを9人まで雇えるとのことである。

韓国では公設秘書、私設秘書の区別なく議員が補佐官4人と秘書3人、有給インターン2人までを自由に採用できる。補佐官と秘書は特別公務員の扱いで、給料も大手企業の管理職並みで悪くない。韓国では、補佐官が主人公の大ヒットドラマがあり、国会で補佐官がどういう役割をするのかはよく知られている。

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