Victimhood cultureは誰のもの

アメリカの大学から西側諸国に広がったvictimhood cultureについて林智裕著『「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」』の第1章「被害者文化という侵略者」で取り上げられている。

👇は現代ビジネスと著者のXで引用されたものの一部だが、被害者文化がどのような属性(アイデンティティ集団)に特徴的なものなのかを考えてもらいたい。

林は「子ども」を挙げているが、おそらく読者の多くは「女」も当てはまると思ったのではないか(⇒だから「女子供」と一まとめされる)。

被害者文化が女の生得的性質の反映だとすれば、女の高学歴化とエンパワーメントが進んだ西側諸国で被害者文化が支配的になってきたことが説明できる。被害者文化はWOKE(黒人、女、LGBTQを神聖化・主役化する価値転換のムーブメント)の基盤にもなっている。

被害者文化は文化・文明のレベルを下げることは間違いないと思われる。

ところで、『「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」』の著者の林は、第2章以降のテーマである福島原発事故の「風評加害」がアメリカから流入した被害者文化の表れだと論じているが、これは説得力が乏しく、第1章と第2章以降がつながっていないように読めるので、本としては失敗と言わざるを得ない。被害者文化については第1章と第6章「はずれた予言がもたらすもの」の一部をまとめて小論として出した方がよかった。

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