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「女性が活躍する最強国家」とは退化した社会
6年近く前にこのような番組が放送されていた。現在ではリンク先は配信停止になっているので、残っている番組紹介の内容に基づいて論じる。
女性が活躍する最強国家とは : 未来世紀ジパング 1月19日放送(有料限定) http://t.co/7MYsBo6hVG
— テレ東NEWS (@tx_news) January 19, 2015
未来世紀ジパング:女性が活躍する最強国家とは 2015/01/19
— テレビ東京ビジネスオンデマンド (@txbiz_ondemand) January 20, 2015
最近発表された「世界・男女格差ランキング」で日本は142か国中104位 #ビジネスオンデマンド #tvtokyohttp://t.co/LZWwNcKn5X pic.twitter.com/l8aNF3ba1j
女性が働き「父親」という文字すらない――中国・モソ族は「女性最強国家」 http://t.co/KEpZNIG3ip
— 【公式】キャリコネニュース (@kigyo_insider) January 20, 2015
この番組ではアイスランドとモソ人社会を「最強」として取り上げていたようである。
「女性の天下」中国少数民族モソ族
北欧アイスランド…男女が世界一平等な国
しかし、国力や他民族を圧する力という点では、アイスランドとモソ人は最強どころか最弱というのが客観的な評価になる。アイスランドは人口36万人、モソ人は人口5万人に過ぎず、辺境の地でなければ異民族に征服されて消滅していたことは確実である。孤島のニュージーランドにいたために絶滅を免れたキーウィのようなものである。
先日の記事で取り上げたFinancial Timesの記事では「女性が首脳を務める国では新型コロナによる死者数が少ない」として、特にアイスランド、ノルウェー、フィンランド、ニュージーランドを成功例に挙げていたが、これら辺境の4小国とモソ人の社会は見方を変えれば「社会を統率する有能な男」を失った社会であるとも言える。
生物が「ある能力を保持するためのコストがメリットよりも大きくなると、その能力は低下する」ように、平和な社会では男が「力」を強化するコストがリターンに見合わなくなってくる。その究極のモソ人社会では、モテ男には子育てコストを女に丸投げできる(家父長の役割から解放される)メリットがあり、女には家にいる夫に煩わされないメリットがある。
社会が平和ボケする→男がempowermentされなくなる→相対的に女が強くなるわけだが、これは進化というよりも退化というのがふさわしい。社会そのものが能力を失う方向に進化(退化)しているわけである。
「退化」は進化の一環、新たな力を得た動物たち #ヌタウナギ #ペンギン #アブラムシ など、祖先が持っていた器官を失うことで、引き換えに新たな能力を得てきた動物たちを紹介します。 #ナショジオニュース #ナショジオ #進化 https://t.co/3siJG3AM1Z
— ナショナルジオグラフィック日本版 (@NatGeoMagJP) October 12, 2016
退化は進化の反対の概念ではなく、進化の一環だ。進化というと何かを獲得していくイメージがあるが、実際には喪失していくことも含まれる。ある能力を保持するためのコストがメリットよりも大きくなると、その能力は低下する。
更新しました!Web科学バーの連載「進化の歴史」第5話「『自然の階段』から『生命の樹』へ(その5)」文と写真:長谷川政美(進化生物学者)https://t.co/rWC7FBBDX9 写真:カモのように水を蹴って泳ぐバンの脚に水かきはない(撮影:長谷川政美)。 pic.twitter.com/CrDaSxHZW3
— 大人の科学バー (@kagakubarKIWI) October 4, 2017
ダーウィンの『種の起源』には、飛べなくなった鳥の例が挙げられている。・・・・・・空を飛ぶ能力は、敵から逃れるには役に立つが、コストがかかるため、その能力なしでやっていけるならば失うことがあるということだ。
女は男に比べて競争とヒエラルヒーを好まないので、女が社会の主導権を握ると、(形式上の)平等が志向されるようになる。フィンランドの教育や、男女の職種の違いを無視して賃金差解消を強行したアイスランドとニュージーランドがその具体例である。
One company proving the economic benefit to closing the pay gap, it’s Reykiavik Energy. In 2011 the business was close to bankruptcy when CEO Bjarni Bjarnason implemented pay parity Today the company is back on it’s feet & the gender pay gap is 0.29% - in favour of women #60mins pic.twitter.com/HHb81VHN7R
— 60 Minutes Australia (@60Mins) April 29, 2018
The gender pay gap between female dominated industries like teaching and high flying male dominated jobs like finance seems insurmountable. Professor Peterson claims that this is because women are innately prefer jobs with people and men prefer working with things. #60Mins pic.twitter.com/JVC2OVRZv7
— 60 Minutes Australia (@60Mins) April 29, 2018
But Iceland’s Minister for Social Affairs and Equality - Thorstenn Viglundsson – is quietly confident his solution to the gender pay gap will work. And he’s urging Australians to follow suit and implement the positive change here. #60Mins. pic.twitter.com/AxtI0M5vCw
— 60 Minutes Australia (@60Mins) April 29, 2018
Should women and men be paid equally? On #60Mins, reporter Tara Brown went inside our gender pay gap debate. FULL STORY: https://t.co/argT8TnAOd pic.twitter.com/OffXqzqIEp
— 60 Minutes Australia (@60Mins) May 1, 2018
国内外での評価の高い、ニュージーランドのアーダーン首相の率いる内閣は、副首相がLGBT、女性閣僚が40%、マオリ族の閣僚が25%などと、世界でも例を見ないほど多様なメンバーを揃える。内閣における多様性はどう高められたのだろうか。https://t.co/Wuo0B1THg5
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) December 18, 2020
進歩・革新は競争によって促進されるので、表層的な平等強要政策は長期的には社会を停滞させる。番組は「男性帝国は滅びる」と煽っていたようだが、既に滅びかかっているモソ人社会のように、滅びるのは男のempowermentに消極的な社会である。先進国がかつての共産主義諸国のような停滞と混迷に陥ってきたのも必然的帰結ということである。
付録:モソ人
モソ人社会についての非常に秀逸な分析記事があったので詳しくはこちらを読んでもらいたい。
『女たちの王国:「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす』の著者Choo Waihongはこの動画の29秒~に登場する。
This is a society that's ruled by women...
— BBC (@BBC) June 2, 2017
More here from @bbcworldservice: 📻 https://t.co/k5HYQIoOxL pic.twitter.com/Ug9PQm5N4X
モソ人の女性は13歳で成人を迎えると、「花楼(ホウロウ)」と呼ばれる自分専用の寝室を与えられる。それ以降、その部屋の内部で起こることは秘密だ。
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) August 1, 2017
女が全権力を掌握する村には「夫」「父親」の概念がない!|中国モソ人の母系社会https://t.co/mL1hgEiyaZ pic.twitter.com/0acZWlb9BH
The land where women rule: discover the tribe in western China where women hold all the power https://t.co/rWLbVwWJQv pic.twitter.com/6KcsksD9M0
— Stylist Magazine (@StylistMagazine) March 30, 2017
The Kingdom of Women by Choo Waihong review – the 'free love tribe' that became a goldmine https://t.co/Z7boeP4WCm
— Guardian Books (@GuardianBooks) May 12, 2017
「母権社会」とは「平等」な社会であり、女性によって組織されてはいるが、女性に支配されているわけではない──1980年代から「母権社会」を研究してきたドイツの哲学者ハイデ・ゲトナー=アーベントロートはそう説明する。
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) November 28, 2019
仏「ロプス」誌によるインタビュー。https://t.co/Nj49PqL3f2
補足
番組紹介にはアイスランドについて「出生率も2.0に引き上げることになった」とあるが、長期的には下落傾向にある。TFRは2016年以降1.7台が続き、30歳未満の出生率は過去最低となっている。
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