女の自殺増加の三つの要因

警察庁から2020年12月の自殺者数の速報値が公表された。女は前年同月比+29%だが、急増した7月以降では最少で、沈静化に向かっているように見える。

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7月以降の女の自殺者の急増についてはこのような分析が多いが、

今回のコロナ禍のダメージは明らかに女性に偏っており、コロナ前からの日本社会のいびつなジェンダー構造を反映しています。自殺増加における女性割合の高さやDVの増加はその目に見える反映です。

おそらくそうではなく、芸能人の自殺に触発されたWerther効果の可能性が大である。特に、7月18日の三浦春馬と9月27日の竹内結子の衝撃が大きかったと見られる。

自殺者数が増加した7月について、日別の自殺者数を分析したところ、17日までは前年同期間と比較して少なかったが、若手有名俳優の自殺報道があった18日以降の1週間において有意に多かった。
本年7月の自殺者数が増加したのは「若手有名俳優の自殺報道(若手有名俳優の自殺それ自体というよりも、それに関する報道)」が大きく影響している可能性が高い。なお、自殺報道の影響によって自殺が増える現象は「ウェルテル効果」と呼ばれ、国内外で過去にも同様のことが起きている。
もともと、もしくはコロナ禍で、不安を抱えていた人たちがより強く影響を受けているようだ。
ただし、7月の後半以降も自殺の増加は続いており、自殺報道の影響以外の要因も考慮する必要がある。

下のグラフは厚生労働省「人口動態調査」より1988年1月~2020年8月だが、1998年5月と2011年5月にも突発的なピークがある。1998年は前年11月の金融危機による景気の急激な悪化、2011年は原子力発電所事故による放射能汚染の恐怖・ストレス芸能人の自殺によるものだが、2020年は1998年と2011年が重なった三重苦の状況だったと言える。

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2011年に入ってからは、1日平均82人の自殺者が出ていた。それが、5月13日にはいきなり140人に跳ね上がり、その後の1週間も1日平均124人にまで達していた。その中身を見ると、大都市圏の20~30代が半数以上を占め、しかも、女性が多かった。

2020年7月から女の自殺が増えたのは、「コロナ前からの日本社会のいびつなジェンダー構造」の反映ではなく、女は男よりも恐怖に弱いことと、芸能人の自殺に影響されやすいことの反映と見るのが妥当だろう。

何でもかんでも「日本社会で女が抑圧されている証拠」に仕立て上げる報道は止めてもらいたい。

ちなみに、上で引用した望月はこのように主張しているが、男女の業種の偏りを是正すると自殺者数も「男女平等」になってしまう可能性を考慮していないようである。女を土建業や運送業で働かせることは「しんどい負担」の押し付けになるだけだろう。

コロナ禍で改めて明らかになったのは女性労働者の総数を増やすだけでは全くダメだということです。業種の偏りを是正するのと同時にすでに女性が多い業種の賃金や不安定さをどうにかする必要があります。家庭の中だけでなく家庭の外でも女性はしんどい負担を押し付けられる構造になってしまっています。

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参考:季節調整値

日本の自殺は3~5月に増加して秋~冬に減少する季節性があるが、2020年はそれと逆行している。

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