「給料が上がらない」と人口減少の関係

この記事で取り上げられている要因に一つ付け加えるとすれば、人口減少のために国内市場が量的に縮小していくという予想が社会全体に共有されていることである。

このような予想の元では、企業は値上げに強気になりにくい。売上が増えていくという予想が立てられないので、固定費の増加には慎重になる。給与が増えないので家計消費も増やせない。

ただ、取引先にも顧客にも、安定を求めたり求められたりして、ずっと価格が上がらない。これが日本人の給与水準が上がらないベースにある、自らの姿勢である実感を強くもっている。

このような強力な予想がある中で物価が上がるとすれば、コスト上昇のために値上げせざるを得なくなる場合、具体的には石油危機や2007-08年のような輸入インフレだが、そのようなインフレは日本経済と国民の大多数にとっては望ましくない。

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上のグラフからも明らかだが、反緊縮派の「1990年代からデフレがずっと続いている」という主張は明明白白な誤りなので騙されないように。コロナ不況になる前の完全失業率は2%台半ばだったので不況でもなかった。

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