日本の異常な「安値思考」の源流

これ👇はその通りで、賃金抑制が物価を上がりにくくしている。

私は年に一度、物価に関するアンケート調査を行うが、「日銀が2%の物価上昇目標を掲げていることについてどう思うか」と聞くと、多くの人が「とんでもないことだ」という。その理由を深掘りしていくと、「賃金は上がらない」と強く思っていることがわかる。本来は物価も賃金も上がることが普通であるのに、賃金が上がらないという固定観念を持っている状態では物価上昇の話も拒んでしまうのだ。
国はこれまで物価目標のみを打ち出してきたが、それは政府のメッセージとしてはふさわしくない。先述の通り、賃金が上がらないのに物価目標だけでは意味がない。そこで賃金上昇目標の数字を打ち出すことも求められる。例えば物価目標が2%ならば、労働生産性の上昇分を鑑みて、賃金は3~4%上げる、ということだ。数字よりも、そうした姿勢を政府が打ち出すことに価値がある。

多くの人が「賃金が上がらない」と強く思うようになった重大イベントの一つはおそらくこれ👇である。

02年3月期決算で、トヨタ自動車は日本の企業史上初めて、連結決算での経常利益が1兆円を超す。
ところがこの年の春闘で、トヨタは「ベースアップ(ベア)ゼロ」に踏み切る。業績絶好調のトヨタのこの決断により、日本企業全体で賃金抑制の流れが一気に広がった。
グローバル競争に勝つために、人件費はできるだけ抑える。利益1兆円が確実なトヨタを率いる奥田氏の強い姿勢は、ほかの企業にも伝播する。それは一つはベアゼロであり、労働の非正規化=非正社員を増やすことであった。

これによって、付加価値の増分が労働側には分配されない構造が定着した。そのことは数字に明確に表れている。

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更に、公的部門も「改革」と称して民間企業に倣うケインズ政策の逆に走ってしまったので、日本経済全体が 「安値思考」から抜け出せなくなってしまった。これこそが"Japan's trap"の正体である。

この記事👇は既に消えているが、一時ブームになったピケティがこのように述べると潮が引くようにマスコミが取り上げなくなったことからも、賃上げ→経済の好循環の再始動の難しさがうかがえる。

インフレ率を上昇させる唯一のやり方は、給料とくに公務員の給料を5%上げることでしょう。

結局のところ、公務員叩きを支持し続けるポピュリズムが、日本の異常な「安値思考」の基盤にあると言える。

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