野党議員のMMTに関する質問主意書

立憲民主党の国会議員のMMTに関する質問主意書と、答弁に対するMitchellのコメントについてコメントする。

国家は、国民に対して納税義務を課し、「通貨」を租税の支払い手段として法令で決める。MMTでは、これにより、「通貨」には、納税義務の履行手段としての需要が生じることで、国民は、価値を認めることになると考える。結果として通貨は、民間取引の支払いや貯蓄手段として利用されるようになり、流通するようになる。

租税の支払手段として法令で決めただけでは不十分で、最も重要な条件は「通貨価値の安定」、すなわち通貨が過剰発行されないための仕組みが確立していることである。現代の通貨システムでは、中央銀行が民間銀行の信用創造を金融政策で制御し、債券投資家(bond vigilantes)が政府の国債の過剰発行を牽制することで、通貨価値の安定を図っている。

MMTでは、誰かの債務は別の誰かの債権であり、誰かの赤字は別の誰かの黒字であると考える。

現代の通貨システムにおける通貨は、銀行がバランスシートを両建てで拡大させる信用創造によって発行されるので当たり前である。MMT独自の洞察でも何でもない。

Mitchellのコメントも誇大宣伝である。

The only body of macroeconomic thought that gets close to explaining the Japanese situation is Modern Monetary Theory (MMT).
The actual correct statement, is that the consequences of the policies chosen by the Japanese government over the last three decades have delivered outcomes that defy mainstream macroeconomics and have demonstrated the predictive accuracy of the core body of MMT work.
MMT economists predicted that the Japanese government (Ministry of Finance and Bank of Japan combined) would be able to maintain interest rates and bond yields at low levels indefinitely irrespective of what was happening on the Bank of Japan’s balance sheet.
We also predicted that the Japanese government would not have to default and its debt would be highly attractive even at low yields. The mainstream macroeconomists predicted exactly the opposite.

国債残高の激増と国債金利の低下はMMTでなくても説明できる。

政府には徴税権があるので信用リスクはゼロ
政府は永続的存在なので国債を完済する必要はない
国債激増は企業のdeleveragingと相殺→マネーストックは過剰ではない

財政の持続可能性に直接関係するのは国債の利払費であって残高ではないということである。この点さえ理解できれば、MMTというvoodoo経済学に騙されなくて済む。

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なお、この議員はこのような質問主意書も提出しているが、

濫発して内閣と官僚の余計な仕事を増やすことは止めた方がよい。

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