「安い日本」が新常態

購買力平価よりもかなり円安の水準が新常態になるのではという考察だが、つまりは生産性が先進国に比べて低いので、非貿易財・サービスや労働力が安い後進国に退行するということである。発展途上ではないので後退国と言うのが適切かもしれない。

実質実効為替レートは1973年の変動相場制移行前の水準にまで低下。

BIS

円安→輸出ドライブにならない産業構造に転換している。

財務省「貿易統計」

経常収支は黒字を続けているが、内訳が大きく変化している。黒字は同じでも、貿易収支の黒字は国内生産を伴うが、所得収支の黒字は伴わない点が根本的に違う。

財務省「国際収支統計」
財務省「国際収支統計」
財務省「国際収支統計」
財務省「国際収支統計」
財務省「国際収支統計」

対外直接投資は国内の設備投資の約1/4にまで増えている。

財務省「国際収支統計」と内閣府「GDP統計」より作成

約30年間も国内での設備投資を抑制する→国内の生産力が質・量ともに世界のトップ水準から脱落する→為替レートが「経済の実力」に見合った購買力平価よりも大幅に低い水準に落ち着く、という衰退の流れである。

「安い日本」を象徴するのが旅行収支の黒字化。ギリシャ化とも言える。

財務省「国際収支統計」

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