『13TH』と不都合な真実

小田嶋隆が褒めちぎっている『13TH』だが、コメント欄で指摘されている通りで、活動家の一方的な主張と印象操作で構成されたプロパガンダ以外の何ものでもない。

今年見たドキュメンタリーフィルムの中では間違いなくベストだったと申し上げて良い。

トランプが「白人が黒人を堂々と差別できた時代」を取り戻そうとしているかのように印象付ける一方で、クリントン夫妻は誤りを認めて差別解消のために働く人物として好意的に描いている。

事実関係についても多くの誤りがあることが指摘されているが、南北戦争後も南部にいた黒人が、1910年代半ば~1960年代にかけて北部や西部に移住した"Great Migration"もその一つである。8分過ぎでは第二次大戦後の人口移動について説明しているが、これ(⇩)は定説ではない。日本でも高度成長期に農村から大都市圏への大規模な人口移動が生じていたが、それと同様の現象である。実際、南部が「サンベルト」として経済発展するようになると北部から南部への逆流が生じた。

彼らは経済的チャンスを求めて南部から移民したわけではない。暴力を恐れ逃げる難民だった(They went there as refugees from terror.)。

近年では、黒人の拘禁率は低下傾向にあり、白人との差も縮小している。この重要事実に触れていないことからも、このドキュメンタリーが客観性を欠いたプロパガンダであることが窺い知れる。

Starting around 2000, whites started going to prison more often for property offenses: robbery, burglary, theft, motor vehicle theft, forgery, counterfeiting and selling or buying stolen property, often categorized as crimes of poverty. 
Explanations for this shift are also speculative. But some analyses suggest that an overall decline in life prospects for white people over the past few decades has also led an increase in lawbreaking among that population, especially crimes of poverty.

黒人の拘禁率の高さと学力の低さの関係も「不都合な真実」である。

内閣府の「ユースアドバイザー養成プログラム」にもあるように(⇩)、学力不振は非行のリスク要因なので、黒人は低学力→ドロップアウト→非行→犯罪の負の連鎖に陥りやすい。

現在の社会において、子どもを非行へと向かわせる最大のリスク要因は、学校不適応であり、その背後にある学力不振である。
非行を行う子どもたちは、人生の早期に低学歴という大きなハンディキャップを背負っており、これを取り返すには、就労の役割が大きい。

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「鶏口となるも牛後となるなかれ」と言うが、アメリカの黒人の不幸は、他に学力が高い人種がいるために、否が応でも「牛後」になってしまうことである。公民権運動によって黒人を白人と混ぜたことで、各人種の社会におけるポジションの「特化」が進み、黒人の刑務所への「進出」が促進されてしまったことになる(⇔白人は黒人の得意分野への進出を妨げられている)。

『13th』を視聴して、目が開かれたのは、差別が、単なる「心の問題」「お気持ちの問題」ではなくて、それに加担する人々の利益問題でもあれば、差別を内包する社会のシステムの問題でもあるという視点だった。

小田嶋が否定する「日本人感」については、これ(⇩)が参考になる。このインド人は以前から白人叩きを繰り返している常習犯である。

リベラルの目標は、キリスト教が世界各地の伝統文化を抹消したように、リベラリズムをクリーンインストールして新世界を建設することである。彼らの本気度を甘く見てはいけない。

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