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【2章】FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

前回の続きでオバマ元大統領やマイクロソフト創設者であるビル・ゲイツが絶賛しているこちらの書籍の2章を紹介したいと思います.


2章 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み

世の中の真実に気付かず,多くの人が勘違いをしてしまうのは,物事のポジティブな面より,ネガティブな面に注目しやすいというネガティブ本能のせいである,と本書では述べられています.事実,大半の人は世界は徐々に悪くなっていっていると勘違いしています.


貧困に関する思い込み
大半の人は世界で極度の貧困にある人の数は,過去20年で増加もしくは変わっていないと感じていますが,実際は下の図で示すように,貧困に苦しむ人々の数は劇的に減少しているのが事実です.極度の貧困の中で暮らす人々の割合は,20年前には世界人口の29%でしたが,現在は9%にまで下がっているのです.

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また,上記の図によると,1800年頃は人類の約85%が極度の貧困層であったことがわかります.すなわち,世界中で食料が不足しており,ほとんどの人が年に何度もお腹を空かせて眠りについていました.さらに,イギリス国内や植民地では児童労働が当たり前で,子どもたちが働き始める平均年齢は10歳でした.
わたしたちが見るテレビ番組では,まだまだ極度の貧困に苦しむ人たちが映し出され,世界は何も変わっていないようにみえますが,我々が気付かない間に,世界では数十億人が貧困から抜け出しているのです.

寿命に関する思い込み
現在の世界の平均寿命は,50歳,60歳,70歳のうちどれでしょうか.答えは70歳であり,この問いには多くの人が間違えてしまうのが事実です.上記の貧困に関する思い込みと同様に,我々は平均寿命に関してもネガティブに捉えがちです.
1800年頃は,世界のどの地域でも平均寿命は約30歳でした.また,それまでの人類史において平均寿命はずっと30歳のままでした.生まれた子どもの約半分は,大人になることなく亡くなっており,残り半分は大体50歳〜70歳の間に亡くなっていました.

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ネガティブ本能

このように,人々が「世界はどんどん悪くなっている」という思い込みから中々抜け出せない原因は「ネガティブ本能」にあると本書では述べられています.ネガティブ本能というのは,物事のポジティブな面よりもネガティブな面に気づきやすいという本能のことです.
このネガティブ本能を促進する要因は以下のようなものが挙げられます.
・あやふやな過去の記憶
・メディアによる偏った報道

例えば,戦争,飢餓,自然災害,失政,予算削減,難病,テロ事件など,世界はいつだって悪いニュースのオンパレードです.反対に,ゆっくりした進歩は,どれだけ大規模であっても,新聞の一面に載ったり,報道されることは少ないです(飛行機が無事に着陸したり,我々の平均寿命が年々上昇している報道はほとんど見ないですよね).
今起きている悪い出来事に人々の目を惹きつけるのがニュースというものですが,悪い出来事ばかりを目にしていては,誰でも悲観的になってしまいます.加えて,思い出や歴史は美化されやすいため,みんな昔は今以上に悪い出来事が起きているのにも関わらず,そのことを忘れてしまいます.そのような結果,世界はどんどん悪くなっている,と勘違いしてしまいます.実は,多くのことが良くなっているのにも関わらず.

ネガティブ本能を抑えるには

「悪い」と「良くなっている」は両立する考えをもつ
著者が提案している1つの方法が,頭の中で,世界は「悪い」と「良くなっている」という2つの考えを持つことです.なお,世界は良くなっているとは言っていますが,世界について心配する必要はない,と言っているわけでないことに注意が必要です.世界は徐々に良くなっていることを認識しつつも,まだ解決すべき課題はあることも認識することが大事です.悪い面だけに注目し,希望を失ってしまうのが1番良くないことです.

悪いニュースの方が広まりやすいことに気づく
ネガティブ本能を抑えるもう一つの方法が,悪いニュースの方が広まりやすい,と気づくことです.メディアは我々に気づいてもらうために,ドラマチックに情報を伝えようとします.また,良いニュースよりも悪いニュースの方がドラマチックになりがちです.悪いニュースを見たときは,「同じくらい良い出来事があったとしたら,報道されるだろうか」と考えてみるのが良いです.ゆっくりとした良い進歩はニュースになりにくいことを知っておくことが大事です.

まとめ

ネガティブな情報のほうが,圧倒的に我々の耳に入りやすいため,世の中を悲観的に捉えてしまい,その結果,世界について実際よりも悪いイメージを抱くようになってしまう.
このネガティブ本能を抑えるには,悪いニュースのほうが広まりやすく,物事が良くなった事実について知る機会は少ない(ニュースになりにくいため),ということに気づくことが大事.


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