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PRM「カンパ箱」解説

0.この記事について

この記事は2019年11月3日,4日に開催された #ナゾガク で行なわれた #ピーアールエム#カンパ箱 の解説記事です。
未プレイの方は読んでしまうと体験の楽しみを削ぐことに繋がりますのでご注意ください。
またこのコンテンツはネタバレ解禁したわけではございません。
この記事は実際にプレイした人のための解説記事です。拡散などはしないように御協力をお願いいたします。
念のため少し下の方にM担当無策師によるカンパ箱解説記事を掲載させていただきます。

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1. はじめに

PRMの「カンパ箱」をプレイして頂き、誠にありがとうございます。
この団体名「PRM」は、メンバーであるpiaとリーチルククと無策師の頭文字を取ったもので、
P:piaのやりたいことを
R:リーチルククが形にし
M:無策師が整える
という団体となっています。
piaの想像力とリーチルククの技術力が伝わるよう、私(無策師)が精一杯この解説を書きました。
良かったと感じた点がありましたら、各メンバーに直接伝えていただくか、せっかくのこの方式ですので「カンパ」という形にしていただけるととても嬉しいです。

2. カンパ箱の掲示謎の答え

⑤は注意事項の「注」の字の左側なので「シ」
①は「動」の右側なので「カ」
⑧は「外」の左側なので「タ」
④(゜)=③②⑧⑨⑦⑥②(ハンタ゛クテン)
⑤(シ)=⑩②ス⑨⑪(サンス゛イ)
で全ての数字が矛盾なく埋まります。
数字を①から⑪まで順に並べると
カンハ゜シテクタ゛サイ
となるので、カンパをすることが出来ればクリアとなります。

3. カンパ箱の掲示謎の解説

「一枚謎」を表現する言葉として「美しい」というものがあります。
謎制作者はどんなときに謎を「美しい」と評するのでしょうか。
人それぞれの感性と表現があるでしょうが、
私は以下の3点を感じたときに「美しい」と感じます。
・手がかりや条件の出し方が揃っている統一性
・答えを導くための情報に過不足がない合一性
・その法則に当てはまるものが他にない唯一性
今回の「カンパ箱」に掲示されている一枚謎は、はたしてどうでしょうか。
④(゜)=③②⑧⑨⑦⑥②(ハンタ゛クテン)
⑤(シ)=⑩②ス⑨⑪(サンス゛イ)
この2つの手掛かりで②~⑪が使われている点に注目してほしい。
手掛かりの中で答えに使われていないのは「ス」のみであり、(この「ス」の存在によりカタカナが当てはまることが推測できる)
また答えの中で手がかりに含まれていないのは「カ」のみである。
たった2つの等式で11文字の答えをほぼカバーできているのです。
また、注意事項の3文は、どれも1つだけ数字が仕込まれており、
3つとも漢字の一部と揃っている。
この注意事項の数字は「カ」をカバーするだけでなく、
解くためのとっかかりともなっているため、
情報が少ないわりに解きやすくもなっている。
このように、私はこの一枚謎が3つの条件を満たした「美しい」謎であると感じたのですが、皆さんの目にはどう映ったでしょうか。

4. カンパ箱の答え

左の投入口から硬貨を入れると左のケースに入ります。
しかし、右の投入口から硬貨を入れても左のケースに入ります。
右のケースに「カンパ」をするためには、箱の内部構造を「看破」する必要がありました。
(一枚謎でも「カンパ(看破)シテクダサイ」と指示されていました)
硬貨を入れた際に光るライトを手がかりに、内部が「K」のような構造になっていることを看破することが出来たでしょうか。
右の投入口に入れた硬貨が右のケースに行くには、左の穴に落ちることなく右へと反射する必要があります。
入れることが出来るものは日本円のみなので、紙幣を細長く折り差し込むことで、右側から入れた硬貨を反射させることが出来ました。

5. カンパ箱の解説

硬貨を入れても、思ったところから出てこない。
そんな不思議体験を謎解きに落とし込んだのがカンパ箱です。
黒い色をしたこのカンパ箱とは、すなわちブラックボックスを看破する謎であり、
光るライトが示す「K」は、カンパ箱の頭文字でもあり、看破すべき内部構造でもあったわけです。
余談として開発秘話を紹介しましょう。
実は、この箱の内部構造は「K」の形をしていないのです。
そんな都合よく反射して右側に転がってくれるかは怪しいですし、
設置状態が少し傾いていただけでクリア不可能になってしまうかもしれません。
リーチルククはこれを懸念し、同じ状況を再現する別の機構を作り出しました。
右の投入口の下には左のケースへの滑り台となる板があり、投入したお金は左に入るようになっています。
この板は上側だけ固定されていて、その部分がモーターで回転し角度を変えることが出来るようになっています。(以下の写真は試作段階の物です。)

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そして、左の投入口に紙幣が入ったことを検知するとこの板を反時計回りに回し、お金がまっすぐ落ちるようになっているのです。
また、お金が通過した際にライトを光らせるためにもセンサーが仕込まれており、光る長さなどの条件を左と右で変えるなど、技術的に細かく作りこまれています。
クリアした後もぜひその細やかな技巧をぜひご鑑賞ください。

6.カンパ箱とはなんだったのか
元始、謎解きとは実にナゾであった。真正の謎であった。
昨今、謎解きはゲームである。
調整に依って解かせ、解説によって納得させる、培養されたような蒼白い謎である。
さてここに『カンパ箱』は初声を上げた。
現代の日本の謎制作者の頭脳と手によって始めて出来た『カンパ箱』は初声を上げた。

掲示謎はまさにゲームとして作られた、解かせるための謎である。漢字の一部であるというとっかかりがあり、それがカタカナを示しているという解き筋があり、半濁点という気付きがあり、それはすなわち解けるように調整された謎である。

一方で、看破謎は体験として原始である。お金を入れ、それがただ落ちるだけである。その現象を謎として捉えるのも、その謎を解き明かそうとするのも、それを観測した者の自由だ。箱はただそこにあるだけで、誘導も強制もしないのである。また、この体験に対し対価として金銭を払っているのではなく、金銭を払うこと自体が直接的に体験の一部となっているのもわかりやすく原始的である。それ故に、謎を解明したい気持ちと手持ちの小銭による葛藤が、日常における金銭の支払いとは比べ物にならない体験にもなるのだ。

謎解きとは本来人間が誰しも持つ根源的な解明欲を刺激する遊戯であったはずである。その欲求発散を簡単に出来るように設計され量産されたのが昨今の謎解きだ。そして今やこの養殖された謎に囲まれ、人間は元来持っていた欲を失いつつあるのではないだろうか。
掲示謎と看破謎の対称的な二つの謎は、そんな問いかけを体験を持って感じさせてくれる箱なのである。

7. おわりに

カンパ箱、お楽しみいただけたでしょうか。
pia、リーチルクク、無策師という3つの素数(PRiMe)が掛け合わさることで出来た、今までにないプレミア(PReMier)感のある体験をお届けできていれば幸いです。
以上、カンパ促進(PRoMotion)のための解説記事でした。

ブンセキ:無策師

また今回の制作に関して物品代のみ(人件費抜き)で6万円程かかってしまいまして、あとは皆様のカンパ頼りのものになっております。
少しでもこの体験に価値を見出していただけましたら物理的なカンパ、もしくは下にある「サポート」というボタンからカンパすることが可能ですので、ご検討いただければ幸いです。
また、以下のリンクからR担当リーチルククがどんなことを考えながらこの箱を実現させたのかというゆうりょう記事を読むことができます。
是非ご覧ください。
https://note.mu/reach_lukuku/n/n8e2fe46de417