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【プリズンライターズ】なぜ、立ち直りたいのか?

お元気ですか、今、〝かえるのうた〟2020、4月号を改めて読み終えペンを取りました。そして、初めての投稿で何をどのように皆さんへ文章表現していいのやらと戸惑いつつも、拙い文章力なりにメッセージをお届けできたらと思っています。

 受刑生活中である以上、自分の過去と素直に向き合い犯罪思考からスタートして、なぜ暴力団思考へと至り、最終的に尊い命を奪い、多くの方々の心に深い傷と多大なご迷惑をおかけしてしまったのかと、真剣に観つめ続けてきました。小学校低学年から、既に軽犯罪思考は進んでいたのですが、今、想えば、当時はまだドル紙幣でしたので、治安がかなり緩かったのかも知れません。そして、中学2年で鑑別所、その後は年少を出たり、入ったりでしたが、その頃、なぜ立ち直ることが、できなかったのでしょう。それは、年少で苦労した分を出院したら、苦労した分を取り戻すのだと浅はかにも、その日、その場だけの喜びを求めて、自分で働くという気がまったく無かったからです。そのような者が行き着く所はおのずと定まっていました。

前フリがながくなってしまいましたが、今回〝立ち直る〟と〝償い〟について私の考え方を書かせて頂き、できれば様々な、ご意見と教示を頂きたくペンを進めています。

 人が生活してゆくには正業に就き働いて収入を得る、スキルとメンタル的な成長を学習する時期に、好き勝手に生活していた自分が、14才から今回捕まる25才まで、社会で生活していたのは5年にも満たないです。その間、刑務所に2度入りましたが、初犯の時、少年院で知り合った者から、暴力団組織加入を誘われ軽い気持ちで承諾し、出所後、又も自分で働くことはせず、楽をしてお金を手にしようと人に依存した、今、想い出しても赤面するほどの情けない生き方だったと、ホント恥しい限りです。そして、暴力団抗争が発生させられ、それにも軽い気持ちで加担し、その後取り返しのつかない事件を起こしてしまいました。自分の将来を真剣に観つめる思考能力が無く、無知から生じる〝軽い気持ち〟に至る行動には、世の中をナメていた情けない生き方が、皆さんにも如実と観てとれるものと思います。

 受刑生活は、今回で3度目になります。長期刑は初めてでしたので、当初はカルチャーショックと言葉のカベに苦しみ、悩まされ、社会生活で何も学ばず自分勝手に生きていたツケが、受刑生活上でまわってきたと何度となく思いました。ですが、刑が確定する前から、自分が〝更生〟するには、職業意識と意欲等の改善が必須であることを自覚していましたので、その辺のことは何ら悩むことはなく、アカ落ちする前から、自分の心構えと決心は決まっていました。その改善を心から望んでおり、自分の罪過はなぜ生じたのか?それは、生い立ちと生活環境だったのか?等々、悩みながら内観を続けてきて、何がどうあろうとそれらは切っ掛けでしかなく、自分の行動を判断したのは私自身であり、暴力団思考から生じたすべての責任は自分にあるし、間違った判断しかできなかった無知と暴力団思考の改善も心から望み、改める点は素直に認め、改善する決心をしました。そして、今日までその改善に努め、職業意識と意欲向上に励み、50代の現在はそれらに加え労働体力の向上と維持に努めています。

 社会で生活していた頃、正業に就き働くことを蔑にしていた自分が、どれだけ愚か者で情けない生き方をしていたかと、今は、はっきり自覚できます。それらに気付くにつれ、受刑生活でも観えてくるものがありました。なぜ窓に鉄格子があり、内ノブのない部屋のトイレの横で食事をしたり、勉学、読書をするのか?又、休息、休憩中や、行動、移動の際はなぜ職員さんと一緒じゃないと、動けないのか?それらを刑務所だからしょうがない……と慣れてしまい、それ以上深く観つめて考える人は少数となっているのでは?と思え、そこには明確な人としての一般常識的なモラル、ルール意識欠如からくる信用度があります。私はその欠如も改善すべく、社会から来て社会に帰ってゆく以上は、社会生活で通用する一般的なモラル等を身につける為に努めても来ましたが、過去を内観したり、読書、新聞、ニュース報道等から社会生活で通用する正しい認識、知識、判断力などを養う為に努めても、受刑生活上である程度まできますと、それらだけでは限界を実感し、やはり社会でリアルタイムに生活しておられる方々との接点が必要不可欠だと確信し、PJ等の存在に心から素直に感謝の念が込み上げます。そして、私が社会で生活していた頃と現在とでは、価値観の相違が受刑生活上でさえ感じますので、その辺の知識等のご教示も願えたらと身勝手にも思います。

 受刑生活中に誰もが〝立ち直る〟と〝更生〟の為に励んでおられるものと思います。それを一時的な言葉や文章だけでの表現で終わらすのではなく、その意味合いを漠然的から深く観つめなくてはいけない時期が必ずあり、その答を社会復帰後どのように生かしてゆくかが大切だと思います。立場上、その時期が必ずあると信じたいです。

 前刑、前々刑と出所しても、自分で働く気などなかったので、刑務所と社会を隔てているカベの上を歩いているような生活でした。運良く社会の地面に落ちたとしても働く気などまったくなかったので、又、カベの上を歩き、刑務所側に落ちるまでその繰り返しの生活に、今、想い出しても情けなく、うんざりさせられるのが素直な気持ちです。10数年前は〝立ち直る〟と〝更生する〟を難しく考え過ぎて自分を苦しめていましたが、難しく考えるのではなく、単純に出所後〝一週間以内で正業に就き、働いて生活してゆく生き方を心に誓う〟それが〝立ち直り〟であり、それを基本に生活リズムを構築してゆけば、おのずと信用と信頼がついてくると確信しています。又、その頃に至っては〝信用〟を意識することなく自然に社会人としての生き方を歩んでいて、そして、そこまでに至るまでの強い決意と、どのような方々と〝縁〟を頂かせてもらうかが、とても大切な1つだと思っています。

 社会で生活していた頃、犯罪思考、暴力団思考からくる間違った低次認識の〝縁〟や〝絆〟を美化し、将来のことを考えられない無知の「軽い気持ち」、そこから生じた私の所為で、家族、友人、知人にも、普通の人が経験することのない悲しみと、心に深い傷をつけ、多大なご迷惑をおかけしています。それは決して忘れてはいけない事の1つと心にしています。

受刑修養生活で学んだ社会復帰後、正業に就き、6ヶ月間で生活リズムをつくり、どのような職種であろうと、まず3年間は必ずやり抜く為の職業意識と、意欲、労働体力の向上と維持に努めてきて、それらが自信となっています。そして、出所後にホントの罪過の償いがスタートします。その〝償い〟というか、自分へのケジメが、1番の難題なんです。

 社会復帰後、正業に就くことができたら、どんなに厳しい職場でも必ず3年間はやり抜きますが、その3年間、被害者の月命日に、ご遺族へお供物とお手紙を送らさせて頂くつもりでいます。そして、その3年間で自分の中での1つのケジメと区切りをと考えています。暴力団思考による無知な所為で尊い命を奪った私の罪過は償い切れるものではなく、ご遺族の方に、誠心誠意で謝罪の意志をお伝えするしかありません。その接点期間は3年間だと自分で決めています。なぜなら、ご遺族の方からしたら、身内の命を奪った私が自分の都合で接点を求めてくるのですから、その際の心情を察しますと、慎重に慎重を重ねても3年間でさえ長過ぎるでしょうし、私が一方的に決めた期間でしかありません。そして、私のその行動は自分の過去の所為による、精神的な苦痛と負い目などを少しでも和らげようとする行為の1つでもあるので、ご遺族の身内の命を奪った私を許して頂くという辛い判断をさせるかのような行為ではあってはいけないと考えましたら、やはり、3年間が限度であり、3年目の命日にご遺族にお会いするつもりです。その際のご遺族の対応が3通りあるものと思い、そこで自分の中で1つの区切りをと思っています。そして、これまで悩み、苦しみつつ〝償い〟とは、と観つめ続けていますが、最終的に〝自分との戦い〟の1つと思っています。

 ここまで書いてきたことは、出所後の人生の生き方に対する決心と覚悟ですが、社会生活から30年も離れていれば、世間の価値観も変化が生じて当然です。ですが、人が生きてゆく為の〝食う・寝る・排す〟は何ら変わっていないでしょうし、まずはそこから慣れ、必要なことだけを覚えたく思っています。何にしましても、社会復帰後はまず正業に就き働いて生活リズムをつくること!その強い決意と覚悟さえあれば、私でも働くことで社会貢献をしていることに自覚、理解できる、改善成長ができています。

そのことでは受刑生活で心から素直に感謝することの1つでもあります。又、私の信念の1つですが、〝将来、過去の自分に後悔しない為の今!〟があり、残りの人生で大きな後悔は2度としたくないです。

 先日、PJスタッフさんのありがたい心配りで、〝チャンス〟(注)を身近に知ることができ嬉しく思い、PJも就労支援活動を更にパワーUP!させてゆく旨も知り、心から感謝×2の念が込み上げ、嬉しくなりました。社会復帰後、すぐ働けるというだけで、自分の杞憂と不安等がある程度なくなります。今後はその出会いから、事業主さんとのご縁を生半可な思いではなく真剣に観つめ続けます。今回は私事の長文で申し訳ないです。文中、不快を生じさせることがございましたら、拙い文章力ですので、どうかご容赦下さい。ご自愛を願いまして失礼します。

(注)「Chance !!」(株)ヒューマン・コメディ:少年院・刑務所専用求人誌
Chance Vol.16 2021冬号はこちら

 

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