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【プリズンライターズ】受刑者への物販・殿様商売エームサービスって知ってる?

タオル363円、チリ紙(700枚入り)622円、歯ブラシ(ビトイーン)184円、ノート180円、便せん(コクヨ)253円、単三アルカリ電池(4本)325円、エッセンシャルシャンプー312円、丸首シャツ(L)(グンゼ)990円、ボクサーパンツ(グンゼ)990円、トランクス1100円、電気カミソリ(パナソニック電池式「ツインエクスES4815P」)5096円など…

これはごく一部に過ぎないが、2023年7月現在の刑務所で受刑者が購入できる日用品類の価格である。
これ以外にも防寒メリヤスの上下で1組5500円、運動靴も5000円以上する。
これらは全て定価で、メーカーの値上げはすぐに価格改定される。
受刑者は月1回、購入したい日用品をマークシートに記入して提出すると、刑務所がまとめて指定業者のエームサービス(以下、エーム社)に注文する。

エーム社は、大半の日用品をカウネット(コクヨの子会社で法人向け日用品の通販サイト)に発注し、カウネットで買えない物は別に仕入れるなどして、1ヶ月後に刑務所に届く。
カウネットは個人に販売しないが、エーム社が法人である事から、エーム社はただ注文を仲介しているだけで、業販価格で仕入れた上で受刑者には定価で販売している。

以前にカウネットのカタログを入手して、同じ品目の価格差を調べた所、およそ80品目で定価の66%ほどの価格であった。
中には定価の半値以下の物もあり、極め付けはカシオの実務電卓は2千円代後半の価格であったが、刑務所では定価の7,700円で買わされる事実にはさすがに驚いた。

エーム社は、米国の刑務所売店・食堂を運営するアラマーク社と三井物産の折半出資で設立され、神宮球場の売店や、病院の給食事業を手掛けている。
PFI方式の刑務所食堂運営受託を皮切りに、法務省に食い込んで行き、矯正協会が国会での天下り人事を追求され刑務所の日用品販売事業の撤退をエーム社が引き継いだ。
エーム社は入札時は安価な額を提示しておき、入札後に受託が決まると、販売価格を大幅に引き上げた。
当初、問題視されたが、法務省が指定業者になるには不正物品の持ち込みを防ぐなどの観点から、入札はエーム社1社が入札に応じたほぼ随意契約だったと雑誌「紙の爆弾」で3回ほど掲載されている。

法務省は5年ごとに指定業者の選定について見直すとされているが、形式上だけで他の業者の参入がない事で形骸化している。
2023年にはエーム社&三井物産がアラマーク社から全株式を買取り、完全子会社にしている。
東証プライム上場の三井物産の完全子会社のエーム社は、受刑者が指定業者であるエーム社からしか購入できない状況を良い事に、カウネットから業販価格で仕入れ、受刑者には定価で販売するという暴利を貪っている。
わずかな作業報奨金から受刑者の構成資金を暴利で払わせる、いわば独占禁止法にも抵触するエーム社のみを指定業者としておく事は、大変問題がある。競争原理を働かせる為にも、最低業者は2社に改善すべきだろう。

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