【プリズンライターズ】満期2週間前に強盗殺人容疑で再逮捕‼️22年刑期が延びました…そんな男の刑務所哀歌#0 /スーパーロング受刑者です

はじめまして。「ほんにかえるプロジェクト」で昨年より厄介になっているA325です。
プリズンライターズの存在を知り、私も刑務所の実情について社会に向けて発信したいと思い投稿しました。

タイトルに書いたとおり2009年、2年余りの刑期が終わろうとしていた満期2週間前（正確には13日前）に、4年以上前に起こした強盗殺人容疑で再逮捕…一審で懲役22年を言い渡されそのまま下獄、現在は首都圏にあるY刑務所にて日々のオツトメを果たしている者です。

出所2週間前にもなると、多くの受刑者がシャバに出てからのことを中心に考えるようになる。
事実、再逮捕のことを工場担当から聞かされたその日、妻が面会に来て出所後のことをあれこれ話したあとだった。
当時の私は暴力団組員。妻を通じて「放免（いわゆる出所祝）の準備をして待ってるから無事に出て来い！」と伝言を受け、スーツ一式を差し入れて帰った。

この日の夕方に「明日、再逮捕の準備のために部屋移るから」と言われ、「終わった・・・」と思った。
思い当たるのはこの件しかない。被害者や遺族にとっては警察からのサプライズになったかも知れないが、私には絵に描いたような悪党の末路に思えた。

事件に関しては2005年、主犯（かつて同じ組にいた兄貴分）から「風俗店のオーナーが脱税してカネを溜め込んでるってハナシが入ったからガラ抑えて恐喝しよう！」と話を持ちかけられ、主犯の会社の従業員達と計6名で実行。
ガムテープで縛り上げて車内に監禁していたところ亡くなってしまった。
この時点で自首していれば監禁・傷害致死と恐喝くらいで済んだかも知れないが、主犯が埋めてやり過ごすと言い張り、それに従った。

当然、逮捕されれば強盗殺人で立件してくると思った。そうなれば余程の酌量すべき事情がない限り「無期懲役」が相場だ。
暴力団組員である私に、そんな酌量すべき事情などない。
そして現状の無期懲役は、ほぼ終身刑だ。
「このまま逮捕されて死ぬまでムショ暮らしなら、とっとと死んだほうがマシだ」と思った。

事実、シャバにいたときはそうするつもりで準備していた。しかし獄中では生きたまま警察に身柄を引き渡すために刑務官が頑張ってしまい（いわゆる自殺防止措置）、強殺容疑で逮捕された。警察署に行くと「千葉市風俗店店長強盗殺人事件」と重々しい戒名が貼られた取調室に通された。
机の上にはその戒名が貼られた調書が70cmほどの高さで3段積まれていた。生け捕りにされたことを後悔させるには充分過ぎる演出だった。

とりあえず、事実を全て話すことを「最後の責務」にすると決めた。
観念した、という訳ではなく、この状況に追い込まれた以上、裁判で無期懲役を受けてから死んだほうが格好がつくと思っただけだ。
強殺での起訴は免れないと思っていたが、起訴された罪名は「強盗致死」だった。

6人全員が殺意を持っていなかったことと、死後4年以上埋められていたことで死因の特定ができなかったと検事から説明された。
それでも無期は免れないと自分では思っていた。
が、予想に反して求刑25年、判決は22年だった。決して短くはないが生きていれば辛うじて60歳までに社会復帰できることになった。
但し主犯は無期だった。

22年の刑期を無事終える保証なんかないけど、60になる前に出られれば辛うじて人生をやり直す時間が残された。
だったらそれまで精一杯頑張って務めよう・・・そう思って一日一日務めを果たし、残刑7年半ほどになった。

・・・ていうのがこれまでの流れ。自業自得・身から出た錆と思っているし、こう振り返って書き連ねると、見下げたクズだと自分でも思ってしまう。
ただ、そんなどうしようもない奴でも、このまま生きて社会復帰できるのなら、本気で人生をやり直したいとは思っている。
「60近くで出て来ても邪魔、死ね！」という意見が大多数とは思うが、一人でも応援してくれるのであれば、それを励みに頑張りたい。

さて、私のいるY刑務所には、10年以上の長期刑が200人ちょっと居る。全体の約1/4が長期刑で、そのうち30人ほどが無期懲役だ。
一口に「長期刑」と言っても10～15年の刑期が大半だ。20年以上の長期と無期はそれぞれ30人程だけだ。
突発的な殺人や覚せい剤の密輸等は12～3年が相場で、強盗致傷は被害者の人数、ケガの度合、金額などによってバラつきはあるが、ほぼ15年前後だ。

私と同じ時期にツトメが始まったロングの多くが既に出所してしまった。
気分的には長期2回分をツトメているように感じる。私は勝手に20年を超える有期刑を「スーパーロング」と呼んでいる。
そんなスーパーロング受刑者の私から見た刑務所にまつわるアレコレをこれから書き綴って発信したいと思います。
どうぞよろしくお願いします。