2018年5月の記事一覧
DIOと呼ばれた女(2)
1話はこちら
物心つく頃には、何も言わなくても目の前の人間がどんな言葉を欲しているかわかるようになっていた。
リサが3歳のときに両親は離婚し、以降母子家庭で育った。母親は奔放なタイプで、何度も彼氏をつくっては別れ、リサに泣きつくのがお決まりのパターンだった。その経験が、否応なくリサを年齢以上に大人びさせていった。
小学生の頃には、同級生はもちろん教師までも、ほとんどリサの思う通りに動かせるよ
DIOと呼ばれた女(1)
「お前がいないと…ッ、もう生きていけないんだよ…!」
(またこのセリフか……)
駅前の往来ではばかりもなく泣いてすがりつく男を前に、リサはもう何度目かの既視感を覚えていた。恋の終わりは、いつもこうなる。
俗な好奇心でいっぱいの視線が、ちらちらと遠巻きにふたりを盗み見ていく。いつからだろう。この男のことを愛せなくなっていたのは。強がってるくせに本当は弱くて甘えんぼなところがかわいい、と思ってい