日曜日よりの使者



個人的な『キングオブコント2021』の感想。

今回は母親と一緒に鑑賞。昨日はかなり体力的に疲れ切っていて、笑えるハードルが低かったので冷静にコントを観ようと決意する。
観る側も集中して評価するから、体力がいるし、点数をつけるなら尚更気をつかうので、審査員も真剣な顔になってしまうのは分かる。それでも不意に笑みが溢れるのをワイプで見てつられる。

序盤から数組みて、ちょっとこれ、みんな大丈夫かなあ?と内心思っていた(失礼)のだけど、うるとらブギーズのコントでたくさん笑う。アナウンス側が笑わせにくるのは面白い切り込み方。だのに点数結果はかなり低めでまた少しテンションが下がる。
ニッポンの社長。ニッシャワールド全開でよかったけど、いまいち盛り上がる場面が分からなくてもったいない。審査員の松ちゃんが「“ニッポンの社長”なんだから(もっと頑張ってもらいたい)」という旨のコメントをした時のケツの固まった顔が私的にツボに入って忘れられない。
ザ・マミィのコント。ストレートに面白くてクセがなくてとても好き。隣でみていた母親も、このコンビはなんとなく上へ行きそうだねって話をしてたら、見事に高得点をとった。ここら辺でかなりキングオブコントを観る側も熱が入ってくる。
その次の空気階段のコントの衝撃。これはもうグランプリ間違いないよね…と悟るほどの出来栄えで感動する。最初ふたりの裸姿が出てきた時はどうなるのかと心配したのだけど、瞬く間に状況を理解してコントに見入る。小道具の使い方の巧みさ、インパクトの大きさ、安定した表現力、他の出場者とちょっと次元が違う。

上位三組のコント。
男性ブランコのネタは充分面白いのだけど、若干、人を小馬鹿にしたような笑いが含まれているのが私的に気になる。(私の感じ方の問題かもしれない)
それに比べてザ・マミィと空気階段のコントには蔑んだ目線を感じさせない。この二組は本当にお笑い芸人でいてくれるんだなあという安心感。人のダメなところ、抜けているところ、欠けているところ、全部まるっと受け入れて(肯定して)笑いにしているのがいい。
空気階段はコントがもともと得意だろうから群を抜いて面白く感じた。コントの最後に小さなロボットが出てくるところで、小道具への愛情とか世界観のスケールの大きさに心打たれる。

自分でお笑い好きだと公言しておきながら、今回のキングオブコントに出場した芸人さんたちのことは詳しく知らなかったのでとても良い刺激になった。
お笑いに点数なんてつけなくていいし、競い合う必要なんてないよ。と思う自分もいるのだが、やはり上には上がいること、芸を極めるプロの存在を見ることは自分の幅が広がるのでこういう祭典はずっと続いてほしい。
普遍的に人が笑うということはどういうことなのか、全くの異界にいる他者に伝わる表現とは何なのか、根源的なことについても考えさせられた。(そのことについて母親と熱心に話し合う)

空気階段の単独ライブのDVDは、青春ゾンビさんというブロガーのおすすめで自ら買って持っていたのだけど、この人たちのコントの何が面白いんだろう?と感じて途中で観るのをやめていたのだ(ごめんなさい)。自分の感性の乏しさを反省しながら、空気階段のDVDを改めて観ることに決めた。

ということで、今日という日曜日は空気階段の『anna』のDVDを観て過ごした。しっかりちゃんと最後まで観てやっと分かる感動があった。終わりにザ・ハイロウズの『日曜日よりの使者』を聴いて気持ちがよくなった。

(※青春ゾンビさんの記事はこちら
(※そいつどいつの市川刺身さんの書いた鈴木もぐらさんについての文章も良いので読んで見てください。記事はこちら)

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