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ハイクオリティなゲームオーディオ表現の価値について

昨今のゲームはハイクオリティが当たり前というか、特にグラフィックスの写実性に関しては進化が目覚ましく、驚くほど綺麗なゲームというのが次々と出ているように感じています。

では?オーディオ表現に関してはどうでしょうか?

あまり言いたくないことではありますが、ここ最近はオーディオ表現の進化に若干の停滞を感じています。特に実装面に関しては、ゲームエンジンの進化過程で置いてけぼりを食らっているような状態になり、アセットをただ組み合わせるだけの実装からなかなか抜け出せないことが逆に増えてしまっているように感じるほどです……。

そして、その理由に関して、詰まるところ「ハイクオリティなゲームオーディオ表現の価値について、周囲からの理解が得られていない」ということがあるのではないかと思い、その価値についての確認をするために本稿を書いてみました。

※ 割とポエムなので注意です、笑

種類

「ハイクオリティなゲームオーディオ表現」といっても、そのハイクオリティには様々な種類が存在し、それぞれ達成するには専門的な知識や感性が必要になってきます。

高品位な楽曲や効果音などのアセット制作に関してはまだイメージが湧きやすいと思うのですが、それだけでクオリティを上げ切ることは難しく、下に挙げるような実装技術などを駆使していく必要があります。

  • 没入感、世界観の描写など

    • 音響空間表現(立体音響、リバーブ)

    • 背景音の配置

    • インタラクティブミュージック、音楽同期制御

    • オーディオエフェクト、プロシージャルオーディオ

  • 情報としての認識のしやすさ

    • インタラクティブミックス

  • 音質の担保

    • オーディオコーデック

※ このあたりの、オーディオ実装に関わる部分は【CEDEC2022 テクニカルオーディオデザイナーの世界】で結構触れているので、そちらも参考になると思います!

価値

ハイクオリティなゲームオーディオ表現の種類について挙げていきましたが、それらは決して万人に分かりやすいものとは言えず、人によってはこう思ってしまうかもしれません。

「私には解らない」「解らないものに価値はあるの?」

しかし、多分ここが本稿のキモというか、実のところそれが言いたいだけなんですが、「解らない」と「価値がない」は別のものです。

例えば、料理を味わう時に「香りが味覚に影響を与えることを考慮した香り付け」を理解して食べる人は少数派でしょう。しかし、その「香り付け」は食事の体験をよりよくするために貢献しており、当然価値があるといえます。

また、「オーディオ表現ガチ勢から見える景色」として伝えたいことがあるんです。

『オーディオ表現のクオリティとゲームの評価や人気の相関、実はすごく高いんです!』

高評価ゲームを逆算的にみてみるとオーディオ表現が良いことが多かったり、グラフィックス凄いのに人気微妙だなーと思ってみるとオーディオ表現があんまりな場合が多かったり、この相関は日常的に実感しています。

これ、オーディオ職の人は割と感じていることなのではないでしょうか?

ハイクオリティなゲームオーディオ表現の「価値」は、「ゲーム体験がより良くなる」ということに尽きます。

クオリティを高めるには

ゲームオーディオ表現のクオリティ向上のためには、他セクションとの相互理解が色々な意味で欠かせません。

また、理解できるところを理解し合うだけではなく、簡単には理解できないところに関しては尊重し合えるような信頼関係を築いていくことが重要になってきます。

オーディオ職の側から「なるべく解りやすいデモの提示」とかを頑張っていくのもそれはそれで重要なのですが、もう少し「専門性を尊重する」形の信頼関係が根付いてくれると良いなと思うのでした。

おわりに

というわけで、最初の注意書き通り?ポエムな感じでお送りしました。ハイクオリティなオーディオ表現を活かしたゲームがどんどん世に出て、正統なゲームオーディオ表現の進化が見られることを願います!もちろん自分自身もそのために尽力できたらと思います!


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