Rapport

日本語にはない美しい単語が他言語にある。
その中で私が一目惚れした単語が、
" rapport (ラポール)"
この言葉を知ってどれほど経っただろう。
なんとなくずっと頭の中に残っている。

アーティストであるキタニタツヤが、
"Rapport"を冠した曲を出した。

紡ぐ言葉があまりに美しかった。
詞を聴き、想いに耽る。
この頃特に身に染みている。


相談事をよくされる。
性別や年齢はあまり問わずに。
同学年の女性、
アルバイト先のアラフォー男性、
定年退職した元教師の女性、
不登校気味の小学生男子、
勉強が苦手で塞ぎがちな中学生女子。

何だか色んな種類の人と話す。
不登校気味の子は、
私と話したことで勉強が好きになり、
学校へも通い始めた。
同学年の子は、
将来への不安や恋愛の話をし、
心が晴れたと溢す。

人の心を開くのが少々得意だが、
これらを通して思うことがある。

人に頼られることよりも
人を頼ることの方が難しい

人に頼るということは、
自分の弱さを預けることだと思う。
私は人の心を受け止められても、
誰かに寄りかかることができない。
私を知ることで、
私から離れてしまうのではないか。
一抹の恐れが、
全ての不安へと繋がる。

だから、
人に弱さを見せられる人は美しく強い。

恋愛相談を受けて私の立場を思う。
自分から好意を寄せる人のことを、
応援する立場にしかなれない人間だと。

過去に好きになった方がいたけれど、
その人には別に好きな人がいた。

私は自分の感情を押し殺し、
相談に乗って応援した。
何ヶ月も聞いてるうちに、
私のことは眼中に無いと主観客観でも思い、
気がついたら感情が無くなった。

その後その人は、
「私の好きな人は、
私を友達としてしか見てない」
と気が付き、自然と冷めたようだった。

何年か経って、
その人は別の人と付き合った。
付き合う前には相手のアプローチすごかった。
でも付き合ってみると、
平気で1ヶ月に1回会うか会わないか。
結局冷めてしまった。

その間、
ずっと相談に乗ってくれたり人として肯定して受け止めてくれる人間は、性別年齢問わず私だけだったということに気が付いたと言う。
今はお互い離れた所に住んでいる。

「もし近い所にいてくれたら、
絶対好きになってる」

もう色々遅かった。
相手が私に気が付くのが。
私が伝えれば変わったのかなとも思う。

でも、
もうそれに対する後悔はないし、
多分自分から好きになる人は、
総じてそんな人間になりそうなる気がする。

ただ、

人の良いところを見つけ肯定する才能がある
人を丁寧に愛することができる

と言わしめたことがある。

私自身はきっと報われないのかもしれない。
見返りを求めないからなおさら。
でも、
人の痛みには寄り添いたい。

気にしない人もいれば、ネガティブな部分を抱える人はたくさんいるのかもしれない。

でもそれをネット上じゃなくて、面と向かって肯定してくれる人が少ないように思う。

だからこそ、人の話を聞きたいしいいところを見つけて本人に伝えたい。
その人を思いっきり肯定したい。

ただの良い人に終わることがほとんどだけど、
万一にでも私の何かに気がついてくれる人に、
弱さを預けても良いと思えるかもしれない。

あとは多分、
人を肯定することは、
そんな自分に対して興味を持って気付いてくれる人を探す旅でもあると思う。

一方的な恋情を抱いたり、
無機質な抱擁をするよりも、
"rapport"な関係、
お互いに弱さを預けられる人が現れれば、
心からの想いで寄りかかりたい。


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