外国籍の同性パートナーと日本で暮らす上での困りごと

LGBTs当事者の方の中でも、戸籍上の性別が同じカップル、いわゆる「同性カップル」は「結婚」ができないことで様々な困難に直面します。中でも特に、「片方が外国人であるカップル」はより多くの困難に直面しがちです。

弊社でもそういったカップルのお客様とお話しするたびに、「早く同性婚が実現して欲しい」とより強く感じます。


外国人と日本人のカップルと、日本人同士のカップル、何が違うのか

日本人同士でも、同性カップルは法律的に結婚することができません。このnoteの読者である皆さんはすでにご存知のことと思いますが、今でもLGBTs非当事者の方とお話をするときに、「渋谷や世田谷だったら結婚できるようになったんだと思っていた!」と驚かれることも多くあります。

過去の記事でも取り上げたように、自治体ごとの「パートナーシップ制度」は、同性カップルという存在を世の中に見える化し、医療や民間企業に対して配慮を求めるという点では効果がありますが、法的効力は非常にわずかです。

外国人と日本人のカップルでも、このパートナーシップ制度を利用することはできます。ただ、外国人の方は日本に滞在するために「在留資格」というものが必要になりますが、同性婚ができないことで、この「在留資格」がないと見做され、本国に送り返されてしまう……という困ったことが起こるケースがあります。


在留資格とは

よく「ビザ」「在留資格」という言葉を聞くことがあるかと思います。「ビザ」というのは、「どういう目的で日本に入国するのか」ということを示す証明です。その後、3ヶ月以上の長期にわたって日本に滞在する場合は「在留資格」が必要となります。

「在留資格」は多岐に渡りますが、多くの外国籍の方は「仕事に関係する在留資格」を取得されています。ところがこの場合、景気の変動やなんらかの事情で仕事を失ったり、病気になって働けなくなったときに、日本にいられなくなってしまうというデメリットがあります。

ところが、戸籍上異性同士のカップルの場合は「結婚」をしていれば、在留資格が得られるのです。結婚という制度の外にいるというだけで、ほぼ同様の暮らしをしているにも関わらず、同様の権利が得られないのは不平等なことですよね。


裁判を経て示された可能性


一方で、この件には少しずつ光明が見えつつあります。2019年に、オーバーステイをしていた外国籍の同性パートナーが、裁判の結果在留特別許可を認められたということがありました。これは、実質的に同性カップルでも法律婚のできる夫婦同様の関係を認められた、画期的な事例です。

また、LGBT国会議員連盟などの間でも、議論が始まっています。

引用:「仮に日本で同性婚が法制化されたら、今のような問題はなくなるということを確認させてほしい」という質問に対しては「法律の内容によりますが、単に配偶者になれるということであれば、入管上もそうなると思います」と答えた。

遅々とした歩みではありますが、こういった問題が解決されるようになって欲しいですし、多くの問題を解決する「同性婚」が早く実現されることを願います。


同性婚の早期実現を願いながら……

私たちのところに住宅購入のご相談をくださるお客様にも、「永住権取得か、高度人材ビザ取得のどちらかが無いと住宅ローンを組むのが難しい」という点でお困りの方からお声がけいただくことがあります。

そういった場合、専門家と連携を取りながらサポートを行っていくのですが、いつも「同性婚があったら皆さんこんなに大変な思いや、不平等な扱いをされているという気持ちを持たずに、純粋に『自分たちの新しい住まいを買う』という楽しい気持ちや新たなチャレンジに集中できるのに…』と本当に歯痒く、かつ、申し訳ない気持ちになります。

外国人ー日本人のカップルと、日本人同士のカップル、それから、法律的に結婚ができるカップルと、そうでないカップル……すべての不平等な取り扱いがなくなるよう、是非国には前向きに同性婚の議論を進めていって欲しいと感じます。また、公正証書による関係性の証明の方法など、今できる限りのサポートを、弊社としても続けていきたいと思います。

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