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LGBTsが「共有名義」で家を買う意義

ここ数年で、LGBTsのカップルが「共有名義」で家を買う事例も増えてきました。そもそも共有名義って、どういうことなんでしょうか? 同性カップルが「共有名義」で家を買うことはどんなメリットがあるのでしょうか。

共有名義とは?

共有名義とは、一言でいえば「この不動産はこの2人の持ち物ですよ」と登記簿(不動産の持ち主を明らかにする公的書類)に明記されるということです。住宅を購入する際に、費用を折半した場合や、ペアローンを使った場合に、お金を出した割合の分、その家を所有しているということが公的に認められます。

たとえば、3000万円の物件を、1500万円ずつ2人でお金を出し合って購入した場合、その物件に対して、それぞれに2分の1ずつの権利があることになります。


共有名義で家を持つメリットは?

これまで、LGBTsが共同名義で家を持つことはかなり難しい時代が続いてきました。なぜなら、同性カップルがペアローンを組むことができなかったからです。

2人が住宅を購入できるだけの資金を持っており、ローンを組まずに家を買うことができる場合や、「金銭消費貸借契約書」を作り片方が片方からお金を借りている形とする場合なども共有名義とできるのですが、現実的には難しく、その手段をとる人は多くありませんでした。その結果、家の名義人になっている側の方が急に亡くなり、パートナーが家を追い出されてしまうという悲しいことも起こっています。

2020年現在、次々と同性カップルでも利用できる住宅ローンが出てきました。それにより、共有名義で同性カップルが住宅を持つことのハードルは着実に下がってきています。共有名義で家を持つことで、「2人の財産」「2人で購入した住宅」を持つことができます。公的に、2人の家が手に入れられることは、とても嬉しいことですね。

ペアローンを使う場合、2人の収入を合算した収入で借入れを行えるため、1人の収入では手が届かなかった家を買うことができるようになります。特に、1人1人の収入が少なくなりがちな女性同士のカップルにはメリットがあるでしょう。

また、住宅を「共同名義」にしておくことで、住宅ローン控除を2人がそれぞれに受けられ、確定申告や年末調整でお金が戻ってくるというメリットもあります。家を買うと、固定資産税などなにかとお金がかかってくるもの。それぞれにお金が戻ってくるというのは家計にありがたいポイントです。


共有名義で家を持つことの注意点

ただし、共有名義で家を持つことには注意するべき点があります。

例えば、一度共有名義で家を持ってしまうと、片方の一存で不動産を売却することはできなくなります。万一別れることになった場合、家をどうするのかなどは、不動産取得時に取り決めをし、パートナーシップ合意契約書に盛り込んでおくとよりよいでしょう。

また、片方が亡くなった場合などに厄介な揉め事が起こる場合もあります。現状、同性パートナーには、婚姻と同じ権利が法的にはありません。そのため、「共有名義」で家を買ったとき、亡くなった方の分の権利は、親や兄弟が存命で相続を放棄せず、遺言状なども特に残していない場合は、親や兄弟に渡ることになってしまいます。親や兄弟に理解があり、そのまま存命中のパートナーが家に住み続けることをよしとしてくれるのが、最も理想的な状態です。しかし、例えば親や兄弟がLGBTsへの理解がなく、亡くなってから共同名義で家を買っていたことがわかったような場合、揉め事が起こってしまう場合もあります。

メリット・デメリットをよく考えて自分たちらしい選択を

共有名義で家を持つことのメリットや注意するべき点についてお話ししてきました。残念ながら同性婚ができない日本では、同性カップルが共有名義で家を持つことに慎重にならざるをえない状況です。それぞれの両親や兄弟との関係性や、自分たちの将来について、しっかりと考えた上で決めていく必要があるでしょう。
例えば、親兄弟にカミングアウトの予定がなく、どちらかが亡くなったあとに揉めそうな可能性がある場合は、単独名義で家を購入し、片方が「賃貸住宅への入居をしている」という形をとることで、家を購入した側が亡くなった瞬間に家を失うことがないようにするのも一つの選択でしょう。また、遺言状をしっかりと作っておくことも必要になると思います。(遺言状や相続についてはまた別の記事で取りあげたいと思います。)
こういった話し合いは当人たちでは法律知識も少なく、行き詰まってしまいがちになるもの。一度プリンセス・スクゥエアーに相談してみませんか? 不動産のプロが、個々人の状況を深くお聞きしながら、よりよい方法を一緒に考えます。是非ご相談ください。

お問い合わせフォーム:https://www.lgbt-mansion.com/request/

お問い合わせの前に、なぜプリンセススクゥエアーがLGBTsの支援に取り組むのか気になる方は、ぜひこちらの記事をご覧ください!



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