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LGBTsと家族へのカミングアウト


LGBTs当事者の皆さんは、すでに「家族へのカミングアウト」はされていますか?

自分で言うより先に親の方が気づいていた。
伝えてみたけれどまだ受け入れられていない。
伝えた結果、より家族仲が深まった。
まだ伝える勇気がわいていない。

……などなど、それぞれに想いを抱えていることと思います。

家族へのカミングアウトは約5割

NHKの当事者に対する実態調査では、家族へのカミングアウトを済ませている人は、調査対象の約5割となっています。

この調査結果を見て、私の個人的な印象としては「思ったよりも多いな」と感じました。

当事者の年代が高くなればなるほど、その親やきょうだいも年齢が高くなり、自然と「LGBTsに理解のある人」の割合も少なくなってきます。
実際に、年齢が高い方ほど「親に言ってもきっと理解できないと思うから…」とカミングアウトをしないことを決めているという方も多い印象です。

こちらの調査の解答者には20代が圧倒的に多いので、年代別に見るとまた異なった結果になるのかもしれません。逆に言えば、若者のなかではカミングアウトしやすい風潮が高まっている一方で、まだ半数程度の方は「家族へのカミングアウトについて悩んでいる」とも読み取れます。


受け入れられるケース、そうでないケース

カミングアウトについての体験談を語る書籍やオンラインの記事も、近年かなり増えてきています。

中でも「カミングアウトレターズ」は非常に有名な書籍です。

18歳から82歳まで、7組19通の手紙と2つのストーリーが紹介されています。
多くが、迷い戸惑いながらも、最終的にはお互いを受け入れることができたという、希望の見えるストーリーになっています。

当事者の方の経験談を語った書籍もたくさんでていますが、必ず家族へのカミングアウトはテーマとして語られていますので、是非様々な書籍を読んでみていただきたいです。ただ、中には、カミングアウトが「成功」せず、悲しい言葉を告げられてしまったり、理解を得るまでに長い時間がかかったケースもあります。


家族へのカミングアウトに悩む人向けのコミュニティ

私自身も、勇気を出してカミングアウトした結果、きょうだいや父親は受け入れてくれたものの、母親は理解することを拒絶し「私の中では、あなたはずっと独身だと思うことにするし、周りの人にもそう伝えるから」と言われてしまいました。自分自身の性的指向を受け入れるのだって時間がかかったのだから、親も当然受け入れるために時間がかかるのだろうと諦め、少し実家と距離をおくようになりました。

きっと同様に、カミングアウトする前後にとても悩むLGBTs当事者も少なくないでしょう。

そんな時、「LGBTの家族と友人をつなぐ会」などの当事者コミュニティに参加してみるのも一案かもしれません。

「LGBTの家族と友人をつなぐ会」では、LGBT当事者の参加だけでなく、カミングアウトを受けて戸惑っている家族や友人と悩みや困りごとを共有し合うことができます。私も一度参加したことがありますが、同じように悩む当事者や、徐々にカミングアウトを受け入れていった親や友人のみなさんが実際にいるんだと感じるだけでも、少し安心できる気がしました。

また、カミングアウトをする際に家族への手紙と一緒に手渡した資料なども、このサイトから手に入れることができました。特にアメリカのPFLAG(LGBTの親や友人の会)が発行した冊子の翻訳版である、「親へのカミングアウトに際しての12のチェックポイント」や「Our Daughters and Sons」は家族へのカミングアウトの準備をするために、是非読んで欲しい資料です。

自分に合った、よりよい「カミングアウト」を。

親へのカミングアウトは決して一筋縄ではいかないことも多く、受け入れてもらえるよりよい結果に至る場合もあれば、時間がかかったり、拒絶される可能性もあります。

ただ、「自分のことを親しい人によりよく知って欲しい」「もう嘘をつき続ける罪悪感を抱きたくない」という気持ちを抱くことは、当然のことです。
性自認や性的指向という生活に密着した大きな事柄を「隠している」ことは、当事者の心の負担になり、それがいつしか家族関係をぎくしゃくさせてしまう原因になる可能性もあります。当事者自身の、心を病ませてしまう可能性もあります。

これまでご紹介してきたように「カミングアウトしない」という選択をしてきたがために、相続などの場面で揉めたり、困ったことが起こるという可能性もあります。

ですから私自身は、「カミングアウト」は慎重に行う必要はありますし、「カミングアウトしない」という選択肢は常に尊重されるべきだと思っていますが、一方で「そうしたい」と思った方が、十分なサポートを得ながら「きちんと伝えられる」ことを願ってやみません。

このnoteをご覧になる方の中には「家を購入する」という大きなきっかけを前に、親へのカミングアウトを考えている方もいらっしゃるかもしれません。是非今回ご紹介した書籍や、当事者コミュニティのHPを、一度ご覧になってみてください!

両親からの資金的援助は得られないけれど、自分の手持ちの資金だけでも家が買えるか気になる…。
カミングアウトをしていないから相続のことなどに不安があるけれど、自分たちだけの家が欲しい気持ちはある…。
そういった住宅購入にまつわるご相談も受け付けています。是非一度、お問い合わせのうえ、プリンセススクゥエアーに遊びにきてください。


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