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LGBTsと老後のお金のこと

LGBTsの皆さんで「老後が心配」となんとなく不安に思いながらも、行動は起こせていない…という方も多いのではないではないでしょうか。いわゆる「老後」にどのくらいのお金が必要になるのかそのための準備はどうしたらいいのかLGBTs特有の問題はあるのか、ということについて考えていきます。


老後に不安を感じている点

例えばLGBTs当事者の方に「老後の不安」というテーマでお話を伺うと、以下のような不安があるようです。

●病気や介護状態になった時、同性パートナーに看護、介護をしてほしい/したいができるのか。
●(トランスジェンダーの方)病気や介護状態になった時、自分の望む性として扱われるのか。
●援助をしてくれる子供がいない、または、家族と疎遠。それぞれの年金だけで老後資金がまかなえるのか。また、亡くなった時、パートナーや家族は生活を成り立たせていけるのか。
●老後はパートナーと一緒に、グループホームに入りたいと思っているが、一般的な夫婦と異なり二人一緒の部屋で受け入れてもらえるのかわからない。
●カミングアウトしていないので、友人や知り合いとの付き合いが最小限になっており、孤独死の心配がある。

社会全体でLGBTsへの理解がまだまだ進んでいないことや、LGBTs当事者に限らず単身で老後を過ごすことへの不安が、根底にあるのではと思わされます。

個人の問題を超えて、社会全体でLGBTsがどんな風に人生を送って、どんなところに不便や不安を感じているのかということがまだまだ共有されておらず、「みんなで解決していかなければならない課題」と捉えられていなかったり、法整備や企業のサービスが追いついていないところがあるのではないでしょうか。

プリンセススクゥエアーとしても、一企業としてできる支援を常に考え続けていきたいと考えています。

とはいえ現実的に法整備やサービス展開が十分でない中で、自分たちでできることを考えていかなければならないということもあるでしょう。そのため、今回は「お金」に注目して、どんな準備ができるのか考えてみたいと思います。


老後のために備えられること:貯金

老後資金の準備として、まずはコツコツと貯金することが挙げられます。

●生活費は月々のお給料から賄い、ボーナスは全て積み立てる。
●定期預金を利用し、毎月一定額を自動的に引き落としている。
●ある程度まとまった金額が貯まった段階で、別の口座に移し替える。

など、様々な方法で貯蓄を行っている方も多いでしょう。

ただ、老後に必要なお金は「夫婦世帯で3000万円以上」と言われています。

なかなか大きな金額ですし、「コツコツ貯める」としても、同性カップルが30代から60代ま毎年お互いに50万円ずつ貯金していく必要がある計算になります。全く想像できなくない金額に思えるかもしれませんが、その間に働けない期間が出てきてしまったり、転職などで一時的に収入がダウンする、実家の家族の看護や介護でお金がかかるなど、どんなことがあるかわからないことを考えると、少し不安な金額です。

(ちなみに筆者は、現在三十台前半で、貯金は毎年数万円しかできていません……。)


老後のために備えられること:保険や個人年金

そんな時に頼りになるのが「保険や個人年金」です。

●生命保険や医療保険で、積立型のものを選べば、ずっと健康で一定年齢を迎えた場合、満期でお金が戻ってくるように設定できる。
●生命保険で、同性パートナーを受取人にできるものも増えている。どちらかの身に万一のことがあった時、受け取れるお金が増える。
●個人年金をコツコツと積み立てておくことで、公的年金の足しにできる。貯金よりも利息がよく、お金が増えやすい。

上記のようなメリットがあり、さらに、自分で定期預金にお金を入れておくよりもずっと「解約」のハードルが高いので、お金を貯める仕組みとしてはとても役に立つでしょう。


老後のために備えられること:投資

「3000円投資生活」という本をご存知でしょうか。

オンライン証券会社の台頭により、より一層「投資」へのハードルは低くなってきています。まずは「投資信託」などのハードルが低く、比較的安心な投資を、小額から始めることで、「投資」について勉強をすることも一つの手です。もちろんリスクもありますが、貯金のうち、ほんの数パーセントを投資に回すだけで、より多くの利益を得ることも考えられます。


老後のために備えられること:不動産購入

住宅ローンを完済した家に住んでいれば、住宅資金がかかりませんので、その分毎月の生活費を抑えることができます。また、都内の買い手がつきそうな場所に家を持っているなど、「家を得ることで資金を手に入れる」ことも選択肢に入ってきます。

住宅を売ることで得られたお金は、グループホームに入るためや、病気の治療や介護に関わるお金として使うこともできるでしょう。

弊社社員の中にも、こんな例があります。

実家の母親の急な病気で、治療費と、母親が住んでいた賃貸住宅の賃料を負担しなくてはならなくなった。治療費約700万円に加え、1年間の賃料100万円を支払い続けるのは、女性でありながらフルタイムで働き続けられたからこそ。必ずしもそういう人ばかりではない。せめて母親が住んでいる家が賃貸ではなく、残債なしの持ち家だったら、少なくとも賃料の分の負担は少なくて済んだのに…。
両親の離婚により、経済的にも危機的な状況になってしまった。兄弟のためにも、自分が稼がなければならない状況。持ち家である祖母の家で暮らすことができていたからこそなんとかなったけれど、そうでなかったら一家離散の可能性もあった。


住宅購入はとても大きな買い物になるため、リスクが大きいように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、コツコツとローンを払い続けることで、「安心できるすみか」としての価値や、立派な「資産」としての価値を発揮してくれます。


住宅購入も一つの選択肢

様々な「老後資金の準備の仕方」をお伝えしてきましたが、プリンセススクゥエアーでこれまで支援をしてきた単身女性やシングルマザーの方でも、住宅購入をきっかけに人生が変わった、安心感が得られた、とおっしゃる方との出会いも多くありました。また、社員自身が、上記のように、「持ち家があったらよかったと感じる例や「持ち家があったからこそなんとかなった」という例を経験しているケースも多く、ぜひ一つの選択肢として考えてみていただきたいと日頃感じています。

シングルマザーの事例:https://www.single-mother.jp/voice/
LGBTsの事例:https://www.lgbt-mansion.com/voice/


LGBTs当事者の皆さんでも、「投資はちょっと怖いけど、家は普段から暮らす場所だし、将来的に高齢で賃貸を借りられなくなったりすることを思うと、購入してしまうことも興味あるかも…」という方は少なくないと思います。

プリンセススクゥエアーではお客様へのヒアリングを大切にしており、売却しやすい物件がいい終の住処になるような家を購入したい、などの様々なご要望も承っています。カミングアウトしての家探しももちろん可能です。ぜひ将来の不安や希望について、一度問い合わせページからお聞かせください!



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