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「いざと言う時」に備えて考えておきたい『死後事務委任契約』

できれば考えたくない、「パートナーの死」。ですが、それは突然やってきます。以前相続の記事を書いた時にもお伝えしましたが、準備をしていなかったがために、パートナーの実家の家族との間に悲しい諍いが起こってしまう場合もあります。

同性婚ができるようになれば、同性パートナーが亡くなった時のことを心配しなくてもよくなるのですが、日本では現状それができません。

今回は「遺言を残す」以外にパートナーの死に備えてできることをお伝えしていきたいと思います。


意外に多い「パートナーが亡くなった時にやるべきこと」

パートナーが亡くなった時の財産の取り扱いを定めるのが「遺言書」です。しかし、遺言書にしたがって財産を分け合う以外にも、パートナーが亡くなった時にはたくさんのやることがあります。

●本籍地と所在地の役所に死亡届を出す。(7日以内)
●実家の家族など、必要な人に連絡をする。
●葬儀や火葬の段取りを決め、行う
●お墓関係の手続きを行う
●遺品整理
●スマホやパソコンのデータの抹消
●各種契約の解除
●勤務先への連絡や、退職手続き
●運転免許証など各種免許証の返納 など
(参照:https://isansouzoku-guide.jp/sigojimuininkeiyaku

実家の家族が存命で、関係性もよく、こういったこと全てを話し合いながら進めてもらえるならばよいのですが、「ここまで連れ添ったパートナーなのだから、自分で最後まで手続きを進めたい/パートナーに手続きを行って欲しい」「実家の家族に迷惑をかけたくない」「実家の家族がほとんど亡くなっている」など、様々な事情のある方もいらっしゃるかと思います。

そんな時に準備しておきたいのが「死後事務委任契約」です。


「死後事務委任契約」の概要

死後事務委任契約は、公正証書で作成します。以前ご紹介した「パートナーシップ合意契約書」の記事に公正証書の作り方は詳しく載っています。


上記の「パートナーシップ合意契約書」や、パートナーが認知症になった時の備えである「任意後見契約」や、亡くなった時の財産の取り扱いについて定める「遺言状」もすべて公正証書で作りますので、同じタイミングで、死後事務委任契約についても考え始めるとよいかもしれません。

ただ、死後事務委任契約には、お通夜や告別式、埋葬などをどこのお寺で行うのか、老人ホームの退所手続きなどについても定めることができますので、「じっくり話し合って決めたい」「老後が見えてきた段階で詳細を盛り込んで作りたい」というカップルもいらっしゃるでしょう。少しずつ、「いずれそういうことも決めておきたいね」というつもりで話し合いをはじめていくのもよいかもしれません。


必要な費用や報酬を定めた「預託金」

こういった事務手続きには、手間と時間がかかるほか、例えば亡くなる直前までいた病院や老人ホームへの支払い、葬儀・埋葬費用などの多くのお金もかかってきます。

それをすべて、死後事務を委任された方が負担するのは、いくら貯金などをしていても大変なことです。また、生活費のお財布が別々、貯金はそれぞれでしている、という場合もあるでしょう。そんな時に、「死後事務委任契約」では、諸々の手続きにかかるお金を「預託金」としてプールし、その中から必要経費や、手続きを行ってくれたパートナーへの報酬を支払うということを定めることもできます。


いざという時の備えに、一度考えてみてはいかがでしょうか

「亡くなった時のこと」を考えるのは誰しも嫌なことですし、近い未来では起こらないだろうと考えがちです。ですが、住宅購入のタイミングなど、大きなライフイベントがあったタイミングで、一度話し合ってみたり、タイミングをみて相談をしておくだけでもよいかもしれません。

例えば様々な公正証書関係の情報を集めたサイトや、法律事務所、公証役場などでサンプルが公開されています。一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

公正証書の作り方などは、弊社でもある程度情報提供が可能です。是非「家のこと」を考えるついでに、併せてご相談ください!



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