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STARTUP本は起業家@キングダムだった

STARTUP本を読み進めるうちに、登場する起業家さんたちがだんだんとキングダムのキャラクターに思えてきた。重症!!

「一番売れているビジネス書」と名高いキングダム。海外が長い私でも名前は知っていたが、長年読む気にならず。

だけどまあ、歴史が大好きで、大河ドラマが3度の飯よりも好きな私。

ある日父に「辛いことばかりで、逃げ出す方がよっぽど楽なのに、とにかく上にのしあがろうとあがいた武将って、誰が思いつく?」と聞いた。誰か良い武将がいたらその人を私のロールモデルにしてしまおうと目論んでいた。「有名な武将はみんなそうじゃん」と答える父。そりゃそうだ。

「そうだ、キングダム読みなよ。まさにその話だよ。」

うーーーんでも漫画はあまり読まないし、絵も好みじゃないな。。まあとりあえず1話の試し読みしてみるか。。

2週間たった今、私は51巻を読んでいる。まんまとキングダム沼にはまってしまった。

キングダムの数多い面白さは巷で語りつくされていると思うので、ここでは割愛する。話を戻すと、STARTUP本に出てくる起業家がキングダムのキャラのように感じられたので、キングダムとスタートアップの「7つの共通点」を考察したい。

1. あらかじめ立てた作戦が上手く行かなかったら素早く切り替える

敵味方、キレッキレの天才たちが頭脳戦を繰り広げるキングダムの戦場では展開がめまぐるしく変化する。絶対この作戦で行ける!!と思ったら、敵が裏をかいてきていきなり劣勢になり、作戦変更を余儀なくされる。柔軟性がないと生き残れない。

起業家さんも同じく。

クラシルの堀江さんは大学生の時にフードデリバリーサービスを開始、そこそこ順調だけどユーザー数の伸びに悩んでいた。そんな中、LINEが同事業に参入する発表を受けて、ピボットを決意。メディア事業に取りかかった。最終的には動画事業して、これが大成功した。フードデリバリーとメディアは全く接点がないように思える。シンプルにすごい度胸。こういった素早い切り替えが窮地を脱するのに欠かせないのだろう。

2. とても出来っこなさそうなことをチームで成し遂げるために、リーダーが夢を語り続ける

キングダムは下克上ストーリー。奴隷である主人公が「天下の大将軍」になることを目指す。でも1人で叶える夢では決してなくて、そのためには彼が率いるチーム「飛信隊」と一緒に出世する必要がある。そして夢を自分のなかに留めるのではなく、飛信隊の全員にシェアし続け、皆に同じ夢を見させる必要がある。

これもまた、スタートアップの心意気に思える。ヤプリの庵原さんは仲間たちに常日頃、「いずれ自分たちも巨額の資金を手に入れるんだ」という米国スタートアップのIPOサクセスストーリーを語り続けることで、モチベーションを上げたという。誇れる実績がまだない時点でも。

ビズリーチの南さんの「草ベンチャー」は飛信隊の始まりのそのもの。エンジニア採用が難航した様はテンが来る前は軍師がいなくてボロ負けだった飛信隊、「自分より優秀な人を採用する重要性」は羌瘣を副長として迎えた飛信隊を彷彿とさせる。

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3. マネジメントスタイルを変える必要性

諦めないことはとても大事だが、それは「今までの価値観や仕事のスタイルを頑固に続けることではない」とSTARTUP本は言う。これは仲間が増える際に起こるマネジメントの問題に特に当てはまる。

ラクスルの松本さんはチーム崩壊すれすれを経験したことがある。「すべてに口を突っ込む」スタイルで、社員のモチベがだだ下がりだった。heyの佐藤さんは社員のキャリア形成に関心を持っていなかったことから会社を去る人が多かった、と振り返っている。
しかし松本さんも佐藤さんも、それまでとは全く違うマネジメントのスタイルに切り替え、これが会社の成功に直結している。

キングダムの信も、リーダーとして悩む場面が何度もある。飛信隊は戦いのたびに仲間が死んでゆくが、一方で出世するたびに心強い新メンバーが入ってくる。組織として大きくなるほど仲間割れの問題が起こるが、自分のマネジメントスタイルを進化させていく。

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4. 当初からいる古参メンバーのパフォーマンスが低く感じられてしまう問題

先述した通り、キングダムで信が率いる飛信隊は、どんどん成長してデカくなる。その過程で様々なツワモノが加わってくれる。それ自体は大変喜ばしいことなのだが、そうすると最初からいるメンバーがかすんでしまうことがある。

クラシルの堀江さんは「能力は本人の努力次第であとから身につく。創業期はガッツさえあれば乗り切れる」とし、創業メンバーが未経験でもチャレンジ出来るような場を設けて活躍してもらった。「居場所をなくした」と思わせないために、社長自らが言語化していくことの大切さをSTARTUP本は説いている。

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飛信隊には渕(えん)さんという副長がいる。元々は連絡係であり、たまたま流れで副長になった。武力も知力も他に劣る彼は自分が「副長という席につり合っていない」と悩む。しかし信に「渕さんが誰よりも強く持っているもの」を皆の前で指摘され、大いに鼓舞される。大好きなシーン。

5. 本能型 vs. 知略型

キングダムにはたくさんのキャラクターが出てくる。そのなかでも戦場で名をとどろかせる人物は、「本能型」と「知略型」に分けられる、とされている。その場その場で直感的に判断して戦略を立てるのが本能型、練りこんだ戦略で戦うのが知略型。

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とはいえ、結局のところ、どちらも使える人が最強な気がする。

STARTUP本を読んでいても、「この人は〇〇型だな」と言い切れる人はいない。第1章の「アイディアを見つける」では起業家さんの直感やセンスが問われる「本能型」な気がする。しかし一方で、ビズリーチの南さんは「国内なら国のレポートを熟読、海外であればいろいろなメディアの記事を読んで、注目されている企業を調べている」という。TheLadders.comの創業者にメールを送ってわざわざニューヨークまで会いにいったエピソードは、敵をとことん知ろうとする知略型そのもの

第3章の「プロダクトを作り、ユーザー検証する」では、「いくつものアイディアを検証し、試行錯誤を繰り返しながらサービスを運営していると、ふわっと浮上するタイミングが出てくる」とある。これは「本能型」に聞こえるが、サイタの有安さんは意思決定に「直感ではなく、サイエンス」を使った。Google広告を用いてどのカテゴリーへの進出がユーザー数アップに繋がるのかを見極めていた。

「どちらも使える」には2つあると思う。1つ目は、自分に足りない方を頑張って取得して、自分でどちらも臨機応変に使えるようにすること。2つ目は、他のメンバーに自分にない方を補ってもらうこと。飛信隊は間違いなく、後者。

6. 強さはもちろん大事、だけどその強さをどう見せるかが勝負を握る

主人公の信はもちろん強い。しかしあくまで奴隷の身だから、普通だったら将軍になんて絶対になれない。たまたま、その道を目指すことが許された。そこには彼自身の強さとは全く関係のない要因がある。

これは、広告運用の重要性を語る際にクラシル堀江さんが言っていた「コンテンツに優位性はない、適切なコンテンツを適切なタイミングで適切な場所に置く。そこで勝負が決まる」に通じる点だと感じた。

7. てっぺんを目指す、逆算思考

キングダムの信の目標は天下の大将軍になること。もう一人の主人公である政の目標は中華統一。どちらもあり得ないくらい高い目標で、物語の序盤はとにかく周りにバカにされる。だけど2人は自分の目標達成までになすべきことをしっかり見据えている。信は、一兵卒から始め、政はまず自分の国で王座を奪還しようとする(これが物語の始まり)。これをスタートアップ本では「逆算思考」と呼んでいる。

「確実に来る未来までなんとかする力」の重要性を説くLayerXの福島さんは「ブロックチェーンが金融業界のインフラになる」未来のためにLayerXを創業した。「市場が開けた時にはトップランナーになるために」だ。
キングダム「鄴攻め編」では、飛信隊は自分たちの出番がなかなか訪れず不満を募らせている。そして王賁のピンチの際、満を持して登場する。

信「ククク。。何人で来たかだって?もちろん、

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八千の飛信隊。その数はもはや隊ではなく「軍」だったのである!
(本文より)

堀江さんは「1兆円企業を目指す」と度々宣言してきた。それに向けた一つ目のステップが「20代で企業価値1000億円を達成すること」。クックパッドを超えるために今やらなくてはいけないことを考えながら、戦略を立てたという。

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これはSTARTUP本の最後に書かれている「起業に必要な3つの素養」でも共通するところがある。その1つ目「高い目標を持つ」。

ラクスルの松本さんはある投資家に「君は中小企業を作りたいのか?」と言われ、その言葉に気付きを得て、印刷比較サイトから「印刷EC事業」へと大きく舵を切ったのだという。

素養3つ目の「諦めない」。これは登場する全ての起業家さんに言えることだと思う。特に私が好きなのは、ユーザーベースの梅田さん・新野さん・稲垣さんらが、予定した契約が白紙になったにも関わらず、戦い続けることを誓ったエピソード。知り合いに頭を下げてサービスを買ってもらうのは、血がにじむような努力だったに違いない。

ちなみにキングダムにおいて私が好きな「諦めない」 は川の対岸を敵に取られている絶体絶命のシチュエーションで飛信隊の軍師がなんとか打開策を考えるエピソード。

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↑駒と地図を使う模擬戦

最後に

とまあ、キングダムとスタートアップを重ねて考えてみましたが、これってたまたま私がSTARTUP本を読んだからこう思っただけで、他でも当てはまることは、あると思います。

キングダムのキャラも、STARTUP本に登場する起業家の皆さま、ひいては全ての起業家たち、無謀とも思えることをがむしゃらに成し遂げようとしているから輝いて見える。熱い!!

キングダムとSTARTUP本、読んでない方はぜひ!私のTwitterは@19_rogueです。キングダムについて語りたいし、長期インターンも探してます。


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