<経営の話 舞台を演出する>
<経営の話 060>
承前)ずいぶん昔、あるバーテンダーに
バーカウンターではお酒をたくさん売る戦略じゃなくて演出をしてるんだという話を聞いて、
まさにこれだって思った。
このお酒一杯をどう提供するかを演出する。
より美味しく飲んでもらうために考えるべきことは戦略じゃなくて演出であると。
環境をいかに整えるか、雰囲気を作って行くか、
どんなタイミングで、最適な一杯を、どんな言葉を添えて提供するのか。
一人一人のお客さんにとってそれぞれの一杯があり
その瞬間瞬間での選択肢がある。
それがピッタリ揃った時、最高の一杯が生まれる。
そんな体験をしたい。お客さんと作り上げたい。
バーカウンターは戦場ではなく、舞台なんだよな。
そんなこんなでマーケティングとかマニュアルとか経営戦略という言葉が嫌いなんです。
自分の感性を磨き、育てていく。
それでお客さんにどうやって楽しんでもらえるかを考え
その場を整え、その力を磨いていく。
売上は欲しいけど、マーケティングとかそれをやっちゃーおしめーよ!なんだな。
百貨店の催しに行くと「戦い」とか「勝ち負け」という表現が使われる。
これは予算に対して、超えたか足りなかったかという意味だと認識している。
経営的には当然そうなんだけど、やっぱり一人一人のお客さんがどう感じて帰っていったか?が大事だと思っているので勝った負けたはなるべく気にしないようにはしてる。
と言ってもまだまだ未熟な人間なので、売上が悪いとテンション低くになっちゃうんだよな〜。
たくさん売れることはいいことだ。
当たり前だけど、たくさん売れれば嬉しい。
行列を作って、じゃんじゃか飛ぶように売れて行くに越したことはない。
前も書いたけど、その辺はめちゃめちゃ羨ましいけど、あんまし望んでいない。
たくさん売るための演出方法だって当然ある。
それも学びたいと思うけど、その辺は無意識にブレーキがかかる。
アノニマスな消費者にとって売上1位の商品が1番いい商品なんだと思う。
たくさん売れたお酒が一番いいお酒。
商売してる以上はいくら美味しくたって売れなきゃ意味ない。
それでも私は一人のお客さんに一番美味しく食べてもらったお煎餅を提供したい。
お煎餅の見方が変わるような衝撃的な煎餅を作りたい。
うん、やっぱり儲ける覚悟はだいぶ優先順位低いw