<ものづくりの話 県岐商1年目>

<ものづくりの話 029>
高校生との授業では毎回毎回、毎年毎年が真剣勝負。
本当に伝えたい思いはなかなか見つからない。
見つかったら見つかったでそれを煎餅でどう表現すればいいのか?
おいそれとできるものではない。

5年ぶり3度目の商品開発の担当となった県立岐阜商業高校(1、2回目は大垣商業高校)でのエピソード。
毎度のことながら年度終了直前で商品がようやく完成し、
翌日に地元GMSでの最初で最後の販売会を控えて、
学校の教室では最後の授業となった。
その日は文科省のお偉いさんや県の教育委員会のお偉いさんが見学に来ると言う大げさな授業で担当の先生も若干緊張気味。
それとは別に生徒たちは翌日隣で販売する別のクラスで商品開発していた楽天で人気のベーグル屋ギャッツとの対抗意識燃やしていた。
これだけ頑張ってきたんだから、売上で勝ちたいと。

私としてはその気持ちは嬉しくもあったが、それをお客さんに感じさせるようなことはしたくなかった。
自分たちが商品開発した意味を思い出してもらい、
一時の売上を競うために授業やってきたのか?そんなこと教えたか?と問いかける。
自分たちが開発した思いを伝えてファンになってもらおう!と再確認する。

そこで先生が1年間やってきたことを漢字一文字で表現しようと提案。
大丈夫かな、無茶振りちゃうかなと心配したが、11人の生徒全員が偶然にも違う漢字を選び、観客の前でそれぞれ堂々と説得力溢れる発表をしてくれた。
順番に発表している間、一人一人の成長っぷりに途中から涙が出てきて、私が最後に感想を言う段についに涙腺崩壊。
号泣。
後で聞いた話では後ろで見学していた文科省の偉いさんも、県の教育委員会の偉いさんも、関係者もみんなもらい泣いていたらしい。
私には見えなかったけど。

生徒も成長してくれたけど、一番成長させてもらったのはこの私だった。

いいなと思ったら応援しよう!