CAになって得られた能力①謝罪力
2022.3.16.#191
スタンドFMで配信しています。
元客室乗務員(CA)、歯科助手(DA)だった経験を活かし、
マナーのこと、歯科のこと、飛行機の中のエピソード・・・、
そのほか日常の気づいたことをお話ししています。
CAになって身に着いた能力のひとつは謝罪力。あやまることです。
しかもただ「もうしわけございません」では謝罪ではないのです。
聞いて聞いてひたすら聞いて、
ただうなずくだけではなく、積極的にうなずき、
相手の怒りや不満を緩和する。
怒りや不満を出してくださるということは客商売としては、
こちらへの期待があるからこそであって、
そこはむしろ有難いことなのだと受け止めます。
ですから最後はクレームをいただいたことへの感謝にまでいたれば、
〇という感じです。
とはいえ、こちらも人間ですから、正直つらいなと思うことはあります。
でもかなり鍛えられたなと思います。
ただ、機内で起こりうる謝罪に関して、ふりかえってみると、
目的地までに機内で解決できる謝罪と、
どうがんばっても機内ではできないことがあります。
さらにクレーマーという人種の方々も一定数存在します。
そこはひとりではなくチームで見極める必要があります。
謝罪といえば、機内食のチョイスで和食か洋食かの選択肢があって、
和食が良かったのに、すでにほかのお客様のところにいってしまい、
担当のカートにはない。
どうしても洋食しかない。
といったことがあります。
心の中で私はそもそも選択肢があるから選びたくなるのであって、
全員同じものを提供すればいいのになーと思っていました。
これは今でもそう思います。
希望しない人は機内食分返金するとか、
ベジタリアンミールなどの特別食を追加料金で提供した方が、
不満は出にくいでしょう。
ただとりあえず機内には洋食しかありませんから、
とにかくご希望に添えなかったことへの謝罪、
食事の場合はすでにほかのお客様は召し上がっていて、
食べもののにおいで機内はいっぱいです。
するとだいたいはそれほどエスカレートせずに、
しぶしぶ洋食を召し上がるといった感じになります。
特にエコノミーの場合はそうせざるをえません。
あとはそのあとご希望に添えなかったことで
リカバーできるようなサービスをしていきます。
まあ、本来すべてのお客様に公平に選択肢が提供できるようにするのは
CAも意識していることなのですが、
それってCAの資質として必要なことなのでしょうか?
むしろ顧客のニーズをくみ取るという意味では、
機内食のチョイスをやめて、
エコノミークラスなら全員同じにするか、
ビジネスクラス以上でしたら事前オーダーできる方がいいのでは?
と今でも思います。
しかも機内であやまるときというのは、かなり周りのお客様も見ています。聞かれています。
あきらかにこちらの手違いでしたら本当にそこは謝罪しかないのですが、
事情をよくよくうかがってみると
実はお客様の勘違いということも見えてきます。
そういった時に謝罪のイメージを出しつつも、
お客様に恥をかかせない、そんなことも大事にしています。
些細なことでいえばイヤホンが壊れている、などです。
壊れているのではなく、使いかたが違っていたなどということはよくあるのです。
機内販売でほしいものが買えなかった、
これも買えなかったのではなくそもそもその路線で販売している商品ではなかった、などということがあります。
はたしてあやまることが良かったのかと思う場面もあって、
お客様は神様です的な発想だったこともありますし、
数々の失敗もしてきました。
ただ、CAの場合は、仕事としての謝罪でもありましたが、
会社の看板を背負ってる部分もありましたし、
会社に守られている部分もありました。
ですので、わたしは実際はCAを辞めてからのほうが、
謝るということに対して、どのタイミングでどのように謝るか、
ということを考えるようになりました。
なかにはなかなか謝らない人っているんですよね。
そうか、簡単に謝ればいいってもんじゃないんだと
仕事以外で気づかされることがあります。
謝るということは自分の考えがそこで強制終了になってしまう気がします。
自分としては最善を尽くしてそれが相手の意に添えなかった、
或いは単純に自分のミスだった、
自分の力の及ぶ範囲ではなかった、
・・・謝るシチュエーションというのはいろいろあるのですが、
どこの部分が謝罪なのか、そこをいつも考えています。
オリンピック選手が、メダルがとれなくて謝罪しているのを見てしまうと
わたしは不思議に感じてしまうのですが、そういうものなのでしょうか?
もしかしたら、メディアを通して謝罪しているようでいて、
実はメダルをとれなかった自分を強制終了させるための儀式なのかなと思ったりもします。
CAとして謝る能力というのは身についた気がしますが、
謝罪と感謝はセットであり、謙虚な気持ちで、おかげさまという
気持ちでいるためには良かったと思います。
今日も「感謝・感激かきくけこ」です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?