エルゴ弊害について②:開排位固定による影響

①になりますが、エルゴタイプの形状は股ぐりの布幅が大きく、月齢によっては膝関節まで覆います。

その股関節姿勢は開排と言うのですが、簡単に言うと、仰向けで横開きですね。

そしてこの姿勢を想像する医療者としては「リーメンビューゲル」が想像つかないでしょうか?

そう、「DDH:発達性股関節脱臼(旧称:先天性股関節脱臼)」の治療道具です。

関節は固定すると固まる性質を逆利用して治療する、医療道具です。

医療者は、例えば「骨折」に関しては我々柔道整復師も、用件満たせば整復・固定が出来ます。その場合は、基本的に「骨折部位より遠位・近位の二関節」まで固定します。例えば、二の腕を骨折した場合、肩関節と肘関節まで固定をします。

しかしながら、固定をすると前述の通り、関節は固まります。だが固定せねば、骨の癒合は」難しい・・・この矛盾ともとれる理論を、バランス見ながら治療・リハビリする事を、医療者は要求されます。

それぐらい関節は、動かないと・・・固まる。つまり動かなくなる。

エルゴタイプは?発達過程で動かす事により、末梢・中枢神経の結合を強める大事な期間において、必要以上に固定を促します。

カラダも柔らかく出来ているので、「固まった」としても、確かに大人よりは戻りやすい・・・大人よりは。

しかし、赤ちゃんの場合は、コミュニケーションスキルに乏しく、自身から不都合を大人に訴えづらいという現実があります。

知らず知らずのうちに、動かしづらくなる・・・開排位で固定が長いため・・・

運動学を学んだ医療者ならば想像付きますが、その開排位固定は正常な歩行への影響はどうでしょうか?

本来の歩行の動きは、医学的に言うと「股関節は矢状面において屈曲と伸展を繰り返す」となります。

分かりやすく言うと、足を前後に動かす。

では、大人もやってみれば分かりますが、開排位で歩行は?しづらいですね。

完全固定ではないにしても、開排姿勢は関節可動域への悪影響は否めません。

つまり発達の時期に重要な、求心性神経への外的刺激を、開き固定した股関節では充分に脳まで行かないし、カラダが柔らかいとは言え固定されいるので歩行プロセス弊害は顕著です。

発達は、まずは「ずり這い」から「ハイハイ」、そして「つかまり立ち」「伝い歩き」「歩行」となりますが、「横への伝い歩き」ばかりが得意で、他が苦手な赤ちゃんは、要注意です。

その後の歩行で「数歩あるいたら、すぐに転ぶ」という現象がそこそこあり、その相談を良く受けます。

聞けば「抱っこヒモ」使用率が、多い。

開排位が多く、横に開くことが多いから、横に歩くのが得意になるからです。

近年「最近の子はハイハイしないで直ぐに立つから、歩くのが下手」というコメントを聞きます。

そしてその原因が「フローリングの家が増えたから」が1つと言う事ですが・・・でも、昔の家って畳敷きの家はお金持ちだったしね・・・だけとは思えないのです。

実は子供は皮下脂肪も厚いし、大人よりも若干ですが痛みに鈍感。

その影響もありますが、私は「開排位固定」が大きいと思います。

開排位固定は、ハイハイ時も、開排しやすくする。

すると、足を閉じれない。では足の指のその時は?母指から小指まで、床を蹴っていますか?開排位では、母子側ばかりでは?

その蹴り・・・バビンスキー反射をおさえながら、蹴る事による刺激は、立位になった際の足裏の蹴り込みに、非常に重要になります。

つまり、しっかり蹴り、手は「バチャバチャ」とさせながらするハイハイが、ハイハイの完成形なのです。(ハイハイでは、同時に体幹の「反り身」も重要ですが、これは次回以降)

ハイハイは、上半身の活動もありますし、後の歩行プロセスには必須になります。

その発達プロセスを邪魔するのは簡単です。

動かして覚える「発達」を、動かしづらくしてやればいい。

エルゴタイプは、その点だけを見ると最適です・・・ハァ・・・

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