エルゴの弊害について④:医療界と子供のカラダの実際との乖離

先にお断りしておきます。

今回は医療界の現実を書きますが、ひとりの医療国家資格者としての見解であります。

決して完全否定や、バカにしているわけではありません。

まず、子供が病気になったときはどうしますか?

病院に行きますね。

私も、子供が病気になった際は行きます。

幸いにも「小児科」「整形外科」「耳鼻咽喉科」「皮膚科」においては、近所に信頼のおけるドクターを把握しておりますので、助かっております。

余談ですが・・・娘が1歳の時に、着替えの際にどう加減を誤らせてしまったのか、「肘内障」を起こしてしまったことがあります。

決して前腕橈側の牽引だけで起こるわけでは無いと、痛感しました。

もともと、娘の場合は、在胎時の姿勢から左側が弱いというのもあります。

柔整師の範囲なので「鬼手仏心」を心がけて整復するが・・・上手くいきません。

家内である院長がやっても・・・。

整形医が当直でいたので、救急外来を受けるが・・・これもドクターが「???整復できた???」というくらい反応が悪い。

翌日、上記の整形の先生の所で・・・「・・・?手応えあったかな?あ、あったみたいね」

私としては、家内が整復出来きれなかった時点で、かなりビビリましたが・・・鬼手仏心になりきれなかったとは思えなく・・・。

そして「肘内障」は教科書で鉄板であり、また柔整師が整復を得意とするものですが・・・確かに幼児は行けると思います。

しかし、乳幼児レベルとなると、難易度は高い。

経験もあるとは思いますが、肘内障で亜脱臼を起こす「輪状靱帯」自体があまりにも柔らかすぎるので、はまりきりづらい。

普通は「パチン」とはまるのが、その手応えも無いくらいに、ブユッと柔らかいのです。

可哀想だけど、翌日に炎症も治まって、かつ上記の整形の先生が「手の外科」出身というのもあったかも知れない。

それで治まった。

いや、本当に難しい子供のカラダ。

さてこの難しい子供のカラダですが、大人ほど周知されていないのが現状です。

子供は自覚症状を含め、症状を上手く伝えづらい生き物です。

ですので、検証がされづらい。

そこを踏まえて、久保田カヨ子先生に弟子入りしています。

カヨ子先生を、初めて犬山に尋ねた際に、「あ!確かに!!」ということをご教示頂きました。

『医者の世界っていうんは赤ちゃんのカラダを診れる条件が限られているねん。それは病名がつかんといかんのや。それが無いと健保使えんしな。

だから、病気のカテゴリーに入らんと分からんのよ。それが医者の範囲。でも発達に関しては、先天性を含めて入る病名が限られている。例えば

上手く歩かん赤ちゃんがいて、それがジストロフィーとかなら医者の範囲やろ?でもそうで無くて、うまく歩けない、発達のための働きかけが足り無かったり、方向性間違っている赤ちゃんならどうや?医者はこう言うで「様子をみましょう」と。赤ちゃんの発達は1日1日が勝負やねん。

だから様子見ているヒマがあったら働きかけせなあかん。それが医者には分からん』

・・・ご主人が、京大名誉教授の医師であると、かなりストレートです・・・

全ての医師がそうとは言えませんが、それぞれに役割があると言う事です。

どうしても、「何でもかんでも医師依存」は違うと言う事ですね。

しかしながら、その先にも問題があります。

では、だれがそれを説くか?

理学療法の世界になると、これも「傷病名」が。

これも否定ではありません。実際に理学療法士して子供のリハビリに活躍されている先生と親交あります。

ですが、いかんせん出てくるのが「傷病名」の壁というか、それがついている子達の対応が優先です。

では運動器を学んでいる柔道整復師・・・同業否定ではないですが、赤ちゃんの発達の概念での勉強機会が無いのが現実です。

国家試験でも数問ありますが、「運動学」においては範囲も狭い。

そしてそれよりも優先しなくてはいけない勉強が多く、取り扱いが少ないのも現状です。

まとめると、赤ちゃんのカラダを理解する流れというのは、マダマダ周知されておりません。

先日、とある助産師が書いた文章に驚きました・・・詳細は省きますが

・バンボでは効果は無い

・効果が無いというのは「股関節脱臼」

・バンボの補助道具では、固定が弱く「股関節脱臼」を防げない

・しっかり開排固定して、脱臼を防がなくてはならない

私が否定する「エルゴ」をその分では推奨している訳では無いですが・・・

要はこの方が推奨しているのは健常児でも股関節を開排固定させて、股関節脱臼を防止?

これには完全否定を致します。

運動器医学を学んでいる私たちから見れば「正気か?」とも思えます。

例えば上腕骨(二の腕)骨折をしたとします。

ギプスをしますが、原則として「上下二関節」を跨いで巻きます。

この場合は「肘」「肩」まで制御します。

この際に相反する事との戦いが始まります。

それは「関節は固定すると動かなくなる」という関節拘縮との戦い。

骨を繫げるためにはギプスするが、し過ぎると動かなくなる。

だからギリギリの点で固定し、リハビリを行う。これが本当に難しい。

・・・上記の文章を書かれた助産師さん・・・運動器の特性を医学的に知っています?

それでは「骨折を予防するために、先にギプス固定する」というくらいの事です。

健全な運動器に制限をかけては、発達阻害を起こします。

これは「医学的エビデンス」に則った否定です。

同じ医療国家資格を持っていても、なかなか正しい情報展開になるとは限りません。

証拠に、エルゴの新生児パッドは医学的に立証された・・・とされておりますが・・・

赤ちゃんのカラダの特性を分かっていれば、軟骨成分が多い骨格と支える筋力の弱さから、成長段階で骨変形の危険性は理解出来ます。

実際に、脊椎配列の歪みが酷い子を診ている経験もあります。

医師だろうと、助産師だろうと、柔道整復師だろうと人間であって、全てが正しいとは限りません。

資格が正しい事を申し上げる訳ではありません。

重要なのは「目の前の子供の体の状態は実際にどうなのか?」と疑問を常にもって、あたれるかどうか。

「○○が言ってるから、良いのだろう・・・」これは、ステルスマーケットの例をとっても、通用しなくなって来ています。

まずは実際にどうなっているか?

それにはどう取り組むか?

が子供のカラダを考える意味では重要です。

そして、医療現場における子供のカラダへの取り組みは、マダマダ進んでいないのが現状です。

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