社長のケガによる損失補填って出来るんですか?

先日、ある治療家業界に関わる社長さん(治療家では無い)と面談する機会があり、表題の質問を頂きました。

というのも、ご本人がバイクに乗っている際に事故に遭い、ケガをされたとのこと。
それにより、業務に2、3週間支障があったとのこと。
「これは損害ですよね?請求できますよね?当然」

これ、正直な所は弁護士に聞いてくれって回答になります。
知っているけど・・・
弁護士法72条「非弁行為」になりたくないのも正直ありますもので・・・

まぁ、一般論としてふまえると・・・





無理でしょうな。
というのも、社長の仕事が会社に影響を及ぼすっていうのは分かります。
ただ、請求に関しては「民法709条」を思い出してもらいたいのです。

※以下、あくまで個人の考えを書いています。
最終的な回答は弁護士に聞いてください。

例えば勤め人の「休業損害」を考えて下さい。
あれは、会社を休むことにより「本来なら貰えるべきお金が入らなかった損害」として考えます。
要は「休む」ということと給料が直結しています。

ですが、ここが社長としての苦しいところ。
休まなくても給料は入りますよね?
そして法人ですと、社長の給与は決算期しか基本的に変更出来ません。
だからNG。

「いや、あんたは分かってないな。社長というのは全体の売上を作るから、勤務イコールじゃないんだよ」
私も社長なので分かっています。
労働力としてのカウントでは無いと言うことですよね?

では社長が対外交渉を行い、売上をとってくるから・・・として仮定します。
その交渉・・・絶対に入る契約ですか?
場合によっては変更・決裂もあるわけです。

そう・・・「絶対に入る」これがポイント。
「絶対に入るモノが事故で入らなくなった」が本来の対象なんです。
勤め人なら、仕事していれば、何事も無ければ、労基法的にも基本的には絶対に入るモノ

仕方無いですよ、これが社長の仕事なんです。
だから、自分の意志でもって自分の行動を決定できる代わりの「自由は不自由」というやつ。

じゃ、例えば一人でやっているラーメン屋さんがあったとします。
店が開けられないので収入は減りますね。
こういった場合においては、保険会社が税理士派遣して経費分を算出してその分は補填したりします。

ただし、全体的に言えるのですが、本当にこういう分野はケースバイケースです。
保険会社との折衝では結構埒があかないような交渉になるので、裁判・・・でも立証難しいだろうな・・・

と言うことで、今回はなぜこんな事を上げたのか?
基本的に即答できるレベルしか上げないのですが、理由はあります。


だからHPとかで「交通事故はなんでも相談してください」とか「慰謝料・休業損害の計算方法」とかを書いていても、こんな事象が来て突っ込まれて回答出来なかったら、ダメージあるのでやめとけ!の典型になると思ったからです。

交通事故は基本的には「全ての事案は裁判で決着に至ってもいいようにする」が基本です。
運が良く、もしくは保険会社の土俵の上だから示談で終わっています。

交渉が決裂していたり、紛争になれば「紛争処理センターでの斡旋」や「裁判所での決着」をするしか無いです。
こうなると交通事故知ったかぶり程度知識の医療従事者では太刀打ち出来なくて、無駄に評判落としにもなりかね無くなります。

ね?面倒でしょ?やめときなって!
を伝えたい場合の良い例だと思っての題材でした。

もうちょっと重症であれば、給与補償系保険ですけどね。
損保の「所得補償保険」は完全に下火になりましたが、この2年で生命保険の方が頑張っています。
ですが・・・現時点で数社のは確認出来ますが、私的に「お!これいいわ」とは、なかなか・・・
一番CMしているやつも、受領している間は毎月保険会社担当が来て、症状を面談チェック。
コンビニ行けるくらいまでなってしまい、そこで給付打ち切りなんて話の事例も聞いています。

私がまた「医療従事者のための保険勉強会」をするのなら、オススメ出来るのは1社くらいかな・・・


それだけ、収入を守るっていうのは難しいんですよね・・・



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