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# 4「なんで職場で健康に口出しするの?」

産業保健もやもやハレハレ

この番組では、産業保健についてモヤモヤするけれど、身近に語れる人がいない!そんな孤独な産業保健職と一緒に、現場にありがちなモヤモヤを3人のパーソナリティと共に深掘りしてみます。

「なんで職場で健康に口出しするの?」のもやもや🌥️

よーた:では前回のまとめからいきましょうか

いが:保健指導は上から目線ではなく、リスクによってタッチを変えて、ありのままでって感じですかね

よーた:そだね。で、今回のテーマは、「なんで職場で健康に口出しするの?」ってことなんですけども

いが:4回目で結構大事なテーマ来ましたね。 でもここでモヤモヤする人は多いだろうね 現場ではそもそもなんで口出しする必要あるの?みたいな 

働くことで不幸にしたくない

いが:医者としては健康大事でしょって思ってても、実際の現場では言うこと聞いてくれないみたいな。 そういう時に色々と思うことはあるんだけど、「働くことで健康に悪くなることがあるでしょ」、「そこは防がなきゃいけないでしょ」っていうのが僕の中のロジックであり、僕なりの解ですね。
要するに、働くことで不幸にしたくないんだよ!

みずえ:愛があるね

いが:愛があるでしょ

よーた:なんだこの2人笑 みずえさんはどうなのよ

正論から言うと安全配慮義務
保健師だったら保健指導するってお仕事だし

みずえ:なんで口出しするかっていうと、正論から言うと安全配慮義務かな 保健師だったら保健指導するってお仕事だし. でもなんでって言うのはずーっとある悩みかもね

いが:じゃあこのモヤモヤはずーっと晴れないの? これは一応モヤモヤハレハレラジオだけど笑

みずえ:晴れないんじゃない?笑 だって法律とかで説明しきれないから解決できる話じゃないもん笑

仕事が原因で健康を害することに口出しする

よーた:僕の考えだけど、口出しする要素って大事だと思うのよ。特に外資系とかだと、俺の健康になんで言うんだよみたいなことをすごい言われるよね笑 でも日本の会社だと僕らの活動を受け入れてくれがちっていう…

いが:うんうん

よーた:だからグローバルに通じるかはわからないんだけど、職場で健康に口出しするのは、仕事が原因で健康を害するってことに口出しするってことだけなのよ. 労働関連死も死因第四位で190万人だよ?多すぎない?

よーた:あと思うのがさ、職場で健康に口出しするのって、職場に起因する健康の悪影響以外に口出してるのはダメなんじゃない?

いが:シンプルにすると「仕事によって健康を害しているんだから、産業保健は介入する」ってことだけど、実際はそんな簡単じゃないのよ笑 よーたさん、まだ浅いな笑

よーた:ありゃ笑

みずえ:どの辺が浅い?笑

業務起因性に対する線引きの難しさ

いが:一つ目は、、、病気って3種類あって、塵肺(じんぱい)みたいな「完全に仕事に起因する業務起因性の疾患」と、「全く仕事に関係ない遺伝(加齢)の疾患」と、「その間の疾患」がめちゃめちゃあるのよ 例えば長時間労働による脳・心血管疾患は業務起因性と加齢によるもののどっちが原因なのか?みたいなもの

よーた:なるほどね

いが:だから、業務起因性の病気だけに介入するってのは、そもそもそこは曖昧な境界だからクリアカットなものではないんですよね

業務起因性以外の疾病への介入

2つ目は、、、最近で言うと、業務起因性じゃない疾患、、、例えば本人要因の遺伝的な疾患に対しても、どう働いていけるかってテーマで介入するのが最近の産業保健のトレンドだという側面もあるのよね。完全に業務に起因するような疾患じゃなくても、「両立支援」の枠組みで「より働きやすくするために」口を出すみたいな

よーた:でもさ、「口出さなきゃいけない」かどうかは違いじゃない? 

口出ししなきゃ“いけない“かどうか

よーた:口出しって強制させるみたいな意味もあるとは思うんだけど、働くことで健康に害があるなら介入すべきだと思う でもそうじゃなくて、なおかつニーズがあまりないことに対しての口出しはどうなのって思う

みずえ:確かに。本来なら産業保健的にはやらなくていいかもだけど、公衆衛生みたいな観点から言えば、それによって健康増進されるならってことで口出ししている側面はあるかもしれないね 産業保健から見ると口出しに見えるけど、公衆衛生から見れば健康増進の底上げになるのかもなって思った

予防的な口出しも必要

いが:口出しって結局さ、後出しだとモグラ叩きになるわけじゃん. だから口出しして、0次予防、1次予防みたいな予防的な介入に組み込んでいけばいいんじゃないの? そうしないと一向に減らないよ

よーた:本人が望んでないことを減らすのって完全にいいことって言えるの? 乳がんの予防的切除みたいな 果たして予防を強制することは是なのか. 本人の価値観を蔑ろしているのじゃないかなと思うのね

いが:それは個人の話だけど、職場全体(組織)の話にしてみれば、リスクの側面から言うと僕らしかわからない健康障害への口出しというか、情報提供は価値があると思う. 夜勤はこのようなリスクがありますよとかさ、 リスクはグラデーションだから, リスクが高まってれば、そりゃやるでしょ笑 予防的に

本人の価値観と口出しのバランス

よーた:もちろん情報提供はあってもいいと思うの. でも、何より僕が言いたいのは、「本人の価値観も考えましょうね」ってことなのよ. 予防を強制的にさせるときに、それが本人の価値観を上回るくらいの価値があることかどうかってのを踏まえて, 言ったほうがいいと思うのよ.  そうなんだけど、もっと手前のところで健康を振りかざして口出ししてる人が多い笑

いが:じゃあ、よーたさんは例えば残業時間であれば何時間だったら口出しするんですか笑

よーた:そもそも僕は定期健康診断やめろ派なのよ笑 過労死とかのリスクあるとかならいいと思うんだけど、リスクのない人に健診やる意味あるのって…

いが:もう一回聞きますよ笑. 何十時間残業してたら口出しすべきだと思いますか?

よーた:僕はやらなくてもいいと思う

いが:おお!!

よーた:もしくは組み合わせるかだね. 例えば疲労チェックシートで、その人が残業に対してどう思ってるかを聞いて、例えば嫌がりながら残業してます、とか、ワクワクしながら残業してます、みたいな笑. これ全然違うじゃん笑. でも、これには問題もあって、例えばHbA1cとか血圧の値がすごい異常値なのにワクワクして残業してますっていう人に対しては、価値観と擦り合わせる必要が出てくるだろうね. 本人がどう思ってるかってのを重視すべきだと思う

いが:その話大切だよね 分解すると、組織全体をひとくくりにせず、その中の個人個人の価値観を尊重すべきだよねって言うテーラーメード的な要素.  とは言っても、研修医の過労死のニュースがあったときに、少なくともセーフティネットとして、集団のスクリーニングとかモニタリングすることも大切だと思うのよ

よーた:リソースが潤沢にあればいいよね. だから理想はテーラーメイドなんだろうね. でも現実はそれできないからみんな一律にしてやらざるを得ませんと. でも当然ながら、例外は出てきちゃうんだよね

いが:システムとしてのリスクを検知するところと、ソフトの面で声掛けみたいなものと、まぁもろもろセットなんだけど、いろんな人が口出しというか、声を上げられるようにするのも大切なんじゃないかな. そうすると研修医の過労死とか、それこそ看護職の離職率の問題とかも解決できるんじゃないかなと思うのよね

「なんで職場で健康に口出しするの?」のはれはれ🌞

フィードバックするという口出し

みずえ:私たちは上に立ってものを言うって役割もあるんだけど、現場の声を聞いて、まとめてフィードバックするのは大切だよね. 今回は口出しってワードで表現したけど、現場の小さな声をかき集めて、経営陣にフィードバックして働きかけることって私たちはできると思う。通報って言うと物騒だけど笑

いが:確かに口出しとは言ってもフィードバックとか、裏でこそっと言うとか、いろんな切り口はあるよね

よーた:あと目的を持つのも大事だと思よね 目的なしのアクティビティは意味ないと思う

いが:ちなみによーたさんの目的ってなんなの?

産業医は働く人の健康を守る職人

よーた:僕は、産業医って働く人の健康を守る職人だと思ってるの. 産業医とか産業保健職が活躍したり頑張れば働く人の環境ってもっとよくできると思ってるの. その結果、会社全体も結果的にハッピーになってみたいなサイクルを目指したいの. なんだろう、触媒かな?笑.  主役ではないけどね笑

みずえ:触媒のマインドいいね笑.  そのマインドだと口出しとか保健指導も自分がメインって感じではやらなくなるね

よーた:そうそう. あと、健康って人を幸せにする要素があると思うのよ. そのキーワードとして、企業の成長とか従業員のハッピーとかEXとかね

みずえ:Employee Experienceは従業員体験だね笑 

いが:よーたさんの話聞いてるとビジネスワードの勉強にもなるねww

いが:産業保健の目的って意外にキレイに語れる人は少ないよね

みずえ:キレイに収まらないんじゃない?笑

いが:企業と従業員のハッピーとか色んな言葉で言えるけど、でもその達成手段のために口出しはしてるんだろうね

よーた:うんうん

短期的ではない中長期目線でのハッピー

いが:あと、労使と健全な関係を作りたいよね笑 あとは、中長期的な事業継続と従業員のハッピー. ハッピーも時間軸があると思うのよ. その時その時の短期的なハッピーじゃなくて、最後にあの時言われててよかったなって思えるような.  それこそ人生単位でもいいと思うけどね笑

みずえ:確かに何回か前にも「すぐに結果を求めない」って話も出てきたよね

いが:みずえさんは、なんか目的とかあるんですか?

従業員と会社のハッピーのために口を出す

みずえ:目的? 今日さ、なんで健康に口出しするのって話だったけど、結論として、従業員と会社のハッピーのためなんじゃないかなと思いました

よーた:この答えって三者三様だと思うのよ. だからこのリスナーの方々にも自分なりに考えて、言語化してみてもらいたいね笑

みずえ:じゃあエンディングいきましょうか笑 では、今回はここまでとなります。お聴きくださりありがとうございました。また次回お会いいたしましょう〜

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次回は

#  5「職場巡視の思い出」


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