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クソ映画観て一句詠む会 『セミマゲドン』

Z級映画を3人で鑑賞し、おのおの一句詠んだ会の備忘録です。

参加メンバー

A:デビルマン経験者。元凶。
B:クソ映画初心者。この日のために有休をとった。
C:クソ映画初心者。翌日資格試験を控えている。

『セミマゲドン』あらすじ

元メジャーリーガーだが今や落ちぶれる一方のジョニーは鬱屈した日々を過ごしていた。そんなある日、突然変異によって巨大化した殺人ゼミの大群がロサンゼルスを襲撃、平和な街は大パニックに陥ってしまう。生まれ故郷を守る為、ジョニーとその仲間たちは米軍ですら歯が立たない最強セミ軍団の退治に乗り出す事に。人類とセミの最終戦争《セミマゲドン》が今始まる!

amazon prime video セミマゲドン

21:00 集合

C「レギュレーション確認しておこう。映画を観終わったあとに川柳をよむんでいいんだよね?」
A「俳句だと季語がいるからね」
B「季語入れるつもりだったの」
C「セミは夏の季語だからいけるかなって」

C「じゃあ『セミマゲドン』いこうか」
B「ちょっとまって、この映画1時間半あるの!?」
A「評価2.6の1時間半……」

21:15 冒頭

B「セミのクオリティがクソ」
A「主人公のスイングフォームがダサすぎる。元メジャーリーガーとは思えない」
C「胸部もろだしだあ」
A「急に泡吹いて頭爆散したね」
C「エロとグロ見せときゃなんとかなるだろうという魂胆が透けて見える」

21:45 半分経過

B「ようやく40分経過……」
C「まだ半分か」
B「延々と車に乗る→人が死ぬ→車に乗る→人が死ぬを見させられている」
A「ロードムービーってやつ?これ」
C「セミに尻刺されて死ぬの不憫だね」
B「高熱でてるとき見る夢」
C「韓国車はまずいってことだけわかった」

22:30 エンドロール

C「え?」
B「え? 終わった……」
C「爆発オチの上に胸糞エンドで後味が最悪」
B「全てにおいて脈絡がなかった」
C「クソだったなあ」
B「想像以上にクソ」
A「こういう映画見たことある人いないの?」
C「B級は少し」
A「私は今までZ級経験してるから全然大丈夫だったな。デビルマンとかトランスモーファーとか」
C「デビルマン(実写版)評価1.6!?」
B「セミマゲドンよりヤバいやつがあるんだ……」

A「シンディー(ヒロイン)がとても強かったね。ビリヤードのキューで次々にセミを倒していく姿は圧巻だった」
B「職業がポールダンサーだから、長物が得意ってことかな」
C「そういうことか!」
B「意外と伏線あったね。コーチをセミに殺された野球少年の主人公が、17年後の最終決戦で、セミを場外ホームランで倒すっていう。ラストで空からコーチがジョニー(主人公)に声をかけるシーンは感動した」
C「伏線でいうと、警察署で明らかになったセミが爆発するってことも、最後のシーンにつながってて驚きだった」
B「爆発するときとしないときがあったけど、どういう違いがあるんだろう」
C「脚本の都合」

22:35 川柳発表会

C「じゃあ一句よもうか。みんなこのクソ映画から何か学んだことあるでしょ」
B「私は無いよ」
A「無いねえ」
C「私はセミの長い口のことを口吻っていうの初めて知ったよ」


Aの句

B「おお〜優秀」
C「その心は」
A「やっぱラストだよね、ラスト。蝉といえば夏。その最悪の夏がLAに来てたわけだけど、人の干からびた死体と蝉の死体が並んで、ようやく夏の終わりの朝を迎えたんだよ」
C「確かに最後は眩しい朝焼けの中だったね」
A「ちなみにボツになったやつがあと1つある」
BC「2個作ったの!?」



Cの句

C「四重奏はカルテットって読みます」
B「その心は」
C「セミ(の鳴き声とCG)はクッソ使い回されてたんですけど、人の死に方はめちゃくちゃバリエーションあったじゃないですか。その多様性と、あと主人公たちが4人組だったので四重奏で表しました」
A「セミと主人公を重ねて表現したんだね」


Bの句

A「wwwwwww」
C「#FUCKMYNECKねw(映画では「首をやられた!」といって蝉に殺される場面が多数あり、SNS上でこのタグとともに悲痛なツイートが投稿されていた)」
B「夏とバズで韻をふみつつ、バズと虫(buzz)を意識してみました」
C「すごすぎる」


Aのボツ句

A「これがボツになったほう。頑張って風流にしようとしたあがきです」
C「きれいだ」
B「このクソ映画にこの句は美しすぎる」

最後に

B「思ったより秀逸な句が生まれたね」
C「クソが昇華していくのを感じた」
B「目的を持ってクソ映画に向き合えるいい会だった」
C「じゃあ次のクソについてなんですけど」
A「またこの会あるの?」


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