日本人とアイデンティティ

日本人とアイデンティティ 

これは河合隼雄先生という心理学の本です。ちょうど昨日スクールカウンセラーの友人と、久しぶりに会って話をしました。この本を紹介してそれから先生のファンだそうです。

アイデンティティとか言われると難しそうな感じがしますが、この先生の本は、ふつうの心理学の本とはちがうんです。語り掛けてくるっていうか、すごくやさしいおじさまの話をずっと聞いているような感じ。いつも心というか魂がそこにあるんです。

今は、活字に触れることが多くなっていて、精査されない文字を読むことが多くなりました。やっぱりこういう本に巡り合っておくのは大事かなって思います。

さて、この本にはいろんなことが書いてありますが、私が一番面白かったのは 

「コンプレックス」 

ただ単に、自分の嫌いなところって言うのは簡単ですけど、先生がひも解いていくその様が面白いです。コンプレックスは、自我の面倒なものをまとめて放り込んだものだとか、優越感とも混ざり合っているとか、それに劣等感コンプレックスのある所には発展の可能性があるんだそうです。

確かに、綺麗になりたいと外見にコンプレックスがある人が、美容の仕事で大成功したりとかあるし。吃音を克服するために努力したら雄弁家になった人もいるそうです。 

心の仕組みを知ることで、自分でもわからない本当の自分の声を聞くことができるんだと思います。

それからこのコンプレックスは、友達とか、周りにいる人に投影される。鏡のようなものです。ここからがおもしろくて、この、コンプレックスを解消するためには、危険をおかしてでも対決しなきゃない。だけど、こうやって人に映してもらうことで自分も相手もそれを解消できる。自分にも、相手にも目を向けてるこの状態を「愛」と呼んではおかしいだろうかって。

心理学の先生が、愛とか言うから面白いです。でも理にかなっています。私が誰かを助けるとか、私が誰かに助けてもらうんじゃない。それがわかるから。友達も言っていました。私は子供たちに助けられているって。器用にできなくても、人と関わるのは大事だなって思います。