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オーケストラパーカッションの楽譜と私の書き込み(3/3) 私の書き込み

 それでは、アマチュア打楽器奏者である私が楽譜にどんな書き込みをしてるかを紹介します。
 一つは、指揮者に要求された表現を忘れないよう、また自分の気づきを忘れないようにするメモ。もう一つ、私にとってもっと重要、というより最低限必要なのが、本番中に考えたり、判断したりすることを減らし演奏に集中するための書き込みです。初合奏練習の時にこれをしておくことは必要ですし、練習回数が少なく本番を迎える場合は欠かせません。

どこを演奏しているのか分かるように

 オーケストラにおいて休みが多い打楽器パートは今どこを演奏しているかを把握していないと正しい場所で音を出せません。楽譜には休みの小節数や、目印となる他の楽器のフレーズが小さく記載されていますが、より分かりやすくするために自分なりに書き加えます。また、指揮者が休みの途中からの小節番号を指示した場合に備えて、細かく小節番号を付しておきます(これ、知らない人には何を言っているのかわかりませんねぇ)。
 下は、ブルックナーの『交響曲第7番』のシンバル(Becken 独語)とトライアングルのパート譜です。この曲の演奏時間は70分近いものですが、シンバル、トライアングルとも1音のみです。音のない第1、3,4楽章が“tacet(休み)”なのは良いとして、音のある第2楽章に“tacet bis”と書いてあります。これではいつ音を出せばよいのか分かりません。しかも、この楽章は4拍子と3拍子を行き来するのですが、それすら書いてないのです。そこで、”tacet bis”の部分を練習記号・小節数、拍子、目印となる楽器のフレーズを書き込みました。5線をはみ出す大きな数字は指揮者が何拍子で振るか(必ずしも楽譜の拍子どおりに振ると限らない)をメモしたものです、他の数字と混同しないようの大きな字で書くことに決めています。

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ティンパニパート譜への書き込み

 いよいよティンパニ、ストラビンスキーの『火の鳥(1919年版)』のパート譜です。

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 曲の途中の音変えの書き込み、ティンパニではこれが大切です。書き込みに従えば間違うことはないと思って余計なことを考えずに演奏できるようにします。私の場合は、変える音だけでなく使っている音すべてを書いたうえで、変える音を〇で囲み下げ方向↓か上げ方向かを↑書きます。音変えは足元のペダルでするのですが、どの楽器を変えるのかペダルをどちら向きに踏むのか考えなくてすむようにするためです。
 ”R” ”L” は右手左手どちらで叩くかのメモ。よりよい表現と楽器間移動の都合のために左右の手順や、短かいトレモロでは叩く回数を研究しおきます。
 場所によってバチを変えることもあるので、バチの型番を二重丸で囲んでメモします。本番会場に行ってからバチを変更した場合は特に目立つように書き加えます。あとは、いろいろな注意事項、言葉で書くのが安心なので、かっこつけずに書きます。

 以上、アマチュアの打楽器奏者として機能面?でしている書き込みを紹介しました。

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ティンパニスト近藤高顯さん(新日本フィルハーモニー)の本『ティンパニストかく語りき 叩きあげオーケストラ人生』がお勧めです。

私の師匠のティンパニ指南本『パーフェクト・ティンパニ・メソード 』もどうぞ。

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【おまけ】
ティンパニを新しくした時に団内誌で紹介した記事です。

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