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やめるのは簡単だけど、やめるのをやめるのは難しいから、良く考えないと。

 コロナ対策の出口戦略が議論になり始めていますね。経済活動とのバランスは常に課題になっていたものの、これまで人命を視点に対策をとって来たのは、比較的、容易だったのではないかと思います。
 これから、人々の感情も含めて種々の観点で議論し対策緩和、そして通常の生活に戻していくのは、対策を始めた時よりも難しい判断が要るのだろうなあと思います。

 私の業務のひとつに、社有建物の維持管理があります。建物設備に製品としての不具合が発見された時に対応の要否を考えなければなりません。

 例えば、○○社の◇◇型エレベータに欠陥があり、重大な事故となる可能性が否定できないということが分かった場合、「エレベータ」という広い観点で、多数所有する社内エレベータを使用禁止にしたとします。一見,社員の安全に配慮した迅速な対応に見えます。

 一方で、例えば車椅子利用者等のエレベータを必要とする人の安全な昇降を確保する問題が発生します。エレベータを使用するリスクとベネフィットを考えずに全てのエレベータを使用禁止にするのは拙速な判断と言わざるを得ません。

 さらには、使用禁止解除の問題が発生します。
 仮に国が全エレベータの使用を禁止し、のちに解除すれば、状況はどうであれ「国が言っているから」という理由で、人任せであるけれど、使用禁止を解除することができます。
 同型のエレベータであればメーカーの原因究明により使用禁止を解くことができるでしょう。別の型式、別のメーカーだった場合、メーカーが安全性検証の対象にしなければ使用禁止を解除する理由が生まれません。永遠に使用禁止にするわけにはいかないので、ほとぼりが冷めたころに、そっと使用禁止を解除する、、、ことになります。

 コロナ対策の出口戦略の話題に触れて、思い出しました。
 それと合わせて、2004年のプロ野球ストライキの時に、当時選手会長でストライキ回避に尽力した古田敦也氏(おそらく古田氏だったと思います)の「いつストライキをやめるのか、どうなったらストライキをやめるのかを考えておかないと、ストライキをやめられなくなる」という言葉に思慮深さを感じたことを思い出しました。

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