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反対意見に感謝した。

 かつて会社の労働組合に女性委員会というものがあった。男女雇用機会均等法の施行を背景に誕生した組織で、女性の労働環境の改善を目的としていた。設立当初、有意義であったろう活動が、育児休職制度に代表される種々の制度整備に伴い次第に形骸し、何か懇親行事を実施する義務感とともに、輪番で回ってくる役員期間をやり過ごすという風潮になっていった。

 ある年、私に支部の役員がまわってきた。そのうえ本部の役員にまでなることとなった。嫌々だったことは否めないが、せっかく組織が認められ、いくばくかの活動予算もついているのは感謝すべきことなのだから、有意義なものとなるよう改革案を作成した。

 その改革を成立させようと、各支部の役員80人程度が参加する総会において、議論の場を設けた。しかし、参加者は順番で役員がまわって来た人が多く、まったく場は温まらない。この場をどう動かせばよいのか。

 だいぶ時間が経過した時、真っ向からの反対意見を発言する人が現れた。「女性委員会はもう要らない、廃止すべきだ。」心臓に突き刺さった。

 ところが、これをきっかけとして議論が活性化したのだ。改革案を作成した本部役員の労をねぎらい、賛成する意見が出された。修正意見を出すひともいた。そして最終的に改革案が提案のとおり成立した。

 賛成意見の人は発言のきっかけを待っていたのかもしれない。反対した人は相当の勇気をだして発言したであろう。反対意見に感謝をした。

 ちなみに、その数年後、女性委員会は発展的解消をした。

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